行雲流水

 昨年はダブル受賞で賑わったノーベル賞だが、今年は残念ながら、わが国からの受賞者は出なかった。全くの独断で、緒方貞子氏のノーベル平和賞を期待したが、当てが外れた▼しかし、国際貢献の分野で初の文化勲章受章は異色の人材であり、政治学者が国連の行政官として難民救済や貧困・人権問題に取り組んだ、そのセンスと手腕はさすがで、風貌・風格ともに総理・総裁にしたいほどの品位ある日本の顔である▼わが国のウーマンパワーを紐解くと、邪馬台国の女王卑弥呼に原点を見る。鎌倉北条執権政治を確立した尼将軍北条政子、応仁の乱を惹起した室町幕府の日野富子、徳川3代将軍の乳母で大奥政治を生んだ春日局、3大悪女ともいわれるが、むしろ封建社会の中で己を貫いた女性ととらえたい▼もともと、この国は卑弥呼の時代から、母系社会であり、現在もその命脈はつづく。封建思想が生んだ「雌鳥が歌えば家滅ぶ」の俚諺は今や死語、逆に母権蘇生の時代である。男女共同参画社会などは言わずもがな、学校の生徒会長などは殆どが女子である▼決して揶揄ではなく、柔和で芯のある女性宰相の方が、これからの時代には相応しいのかもしれない▼男の風上に置けぬとの叱責は甘受するとして、ただ、秘書疑惑は何故か白で、国民的人気があると言われるが、拉致問題への失言など、見識と品性のなさ、元外相の名がすたる。日本の顔など以ての外。蛇足だが、女性を悉く良しとする、フェミニストではない。

(2003/11/7掲載)

top.gif (811 バイト)