行雲流水

  毎年、10月16日は国連が制定した「世界食糧デー」である。深刻な状況にある世界の食糧問題を考える日である。宮古でも、きょう15日の午後7時半、アバビルで「世界食糧デー宮古大会」が開催される▼世界では今、8億人以上が飢餓状態にあるといわれる。その中で年間600万人の子供が栄養不足が原因で死亡している。また、子供の時の飢えは心身の健やかな発達を妨げ、社会の発展を阻害し、飢餓と貧困の悪循環を生む▼貧困の要因には人口爆発があり、洪水や干ばつ等の災害がある。モノカルチャー(単作農業)は土地を劣化させ、森林伐採による環境破壊が土地の砂漠化を拡大させている。グローバル化は貧富の格差を拡大させ、地域の食と農業の自立を困難なものにしている。言うまでもなく戦争の最大の犠牲者はいつも子供たちである。ユニセフ(国連児童基金)によると、この10年間で、紛争により、命を失った子供は200万人に達している▼ところで、私たちは戦後の食糧難時代にララ(アジア救済連盟)やリパック(琉球列島奉仕委員会)等からの援助を受けた。復興に果たした役割の大きさを忘れてはなるまい。粉ミルク、メリケン粉、サラダ油、学用品等が配給されたのだった▼そして今、世界的食糧難の時代に世界は直面している。「世界食糧サミット」は2015年までに8億人の飢餓人口を半減させる目標を設定した。飢餓と貧困の解消は、平和と安定した世界の構築のための不可欠の課題である▼知ることと、想像することからすべては始まる。

(2003/10/15掲載)

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