行雲流水

  『読めば宮古』には、宮古の人は道を歩かない、ということが書かれている。言われてみれば、なるほどと思う。確かに、市街地で歩いているのも、観光客の方が目立つ。公設市場に行くと新鮮な野菜や魚介類が安く手に入ると聞いても、車の置ける郊外のスーパーに行くことが多い▼この傾向は何も宮古だけのことではない。交通網の整備が遅れたこともあって、すぐタクシーを利用するのが「沖縄」である。この8月、那覇市に都市モノレール(愛称ゆいレール)が開業したが、「でもね、駅で降りたあと歩かないといけないし」という声をよく聞く。しかし、健康のイメージをアピールしてきた県としては、県民がもっと歩いて健康を心掛けること、その契機になることを期待している▼実は、朝日新聞に「長生き島の不摂生」という見出しでルポ記事が載っている。例の、男性の平均寿命が26位に転落、全国平均を下回ったというショッキングな出来事に関するものである。これまで長寿者が平均寿命を引き上げてきたが、ここへきてそれより下の不摂生が顕在化してきたのではないか、というものである▼研究者たちは、車社会による運動不足、食生活の乱れ、アルコール摂取量の多さ等をその原因にあげている。運動の一つ、県民の一日の歩く歩数は全国平均よりかなり少ない▼歩けば新しい発見が生れる。青空に浮かぶ雲、家々で咲き誇る花々、触れ合い語り合い。地域文化の活性化▼「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道になる」(魯迅)。

(2003/10/01掲載)

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