行雲流水

  9月は「敬老の日」や「老人保健福祉週間」、また旧8月8日に因むトーカチ(米寿)祝いなど、まさに敬老の月である▼世界に冠たる、わが国の平均寿命は、男78・3歳、女85・2歳である。平均寿命とは〇歳児の平均余命のことで、あとどれくらい生きられるかは、その年齢における平均余命をみるのがよい。例えば60歳の平均余命は男21・5歳(81・5歳)、女26・9歳(86・9歳)である。即ち平均寿命に比べ、男は3歳ほど、女は2歳ほどもうかる?勘定になる▼80歳までゴルフができ、碁が打てれば、後は「ピンコロ」で逝くのが理想と常々思っているが、わが国の百歳以上は2万人を超えるなどと聞くと、なにやら不遜な欲が出てきたりする▼わが国では、65歳以上の老人を高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼ぶが、65歳以上を「老人」としたのは、日本老年医学会が発足した1959年頃のことで、その当時の平均寿命は約68歳であった▼現在は80余歳だから、「老人」は75歳以上が妥当で、これを「新老人」と呼び、「75の手習」を推奨するのが、「生きかた上手」などの著者日野原重明氏(92歳、病院理事長)である▼これは美しく老い、美しい死への誘いのように思える。「されば、人、死を憎まば、生を愛すべし。存命の喜び、日々に楽しまざらんや」と「徒然草」にもある。日々を楽しむゆとりと心の充実こそが、美しく老いる道のようだ。

(2003/09/26 掲載)

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