行雲流水

  「災害は忘れたころにやってくる」という言葉がある。台風14号は、まさにその通りにやって来て、大きな災害をもたらした▼農作物は甚大な被害を受け、折れた街路樹は道路に散乱した。窓ガラスが割れて多くの怪我人が病院で治療を受けた。600本以上もの電柱が倒壊、停電のため全島が闇に包まれ、断水や電話の不通もあって住民生活に深刻な影響を与えた。住民はそのあとかたづけに追われ、復旧作業は精力的に続けられている▼この台風被害で驚くことは、電柱倒壊の凄まじさである。特長的なことは倒壊が連鎖的に起こったと思われることである。1本の倒壊が電線の張力を増加させ次々に衝撃を伝えていったのではないか。また、倒壊した電柱からの電線を含む構造体の振動が「風の息」(周期的な力)と共振、破壊を拡大したのかも知れない。いずれにしても、施設全体の設計が今度の台風に耐えうるものでなかったということである▼窓ガラスが割れて怪我人が続出、病院に運ばれたということも前代未聞の出来事である。恐怖は想像を越えるものであったに違いない。飛来物による破損もあるだろうが、今回の場合被害頻度が多過ぎる。科学的な原因究明のための検証が求められる▼言うまでもなく、農作物の被害が最も深刻で、生産者の生活に直接ひびく。なんらかの救援を要する。園芸部門に比べて、サトウキビ共済は加入率が低いという。加入促進も今後の課題であろう▼台風一過、壊滅的な被害を受けたサトウキビ畑の上、青い空が無情に広がっている。

(2003/09/17 掲載)

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