行雲流水

 乱立の自民党総裁選やいかに。自民党総裁即総理大臣ならば、無関心ではいられまい。最大派閥の橋本派が分裂、派閥横断的様相は自民党の混迷か、それとも変革への始動か▼だが、しょせんコップの中の嵐、全国民が参加出来る首相公選の方がいいと常々思う。現行の議院内閣制では無理だが、「首相公選制」という点では憲法改正もよいのではないか▼ところで、わが国の政界では公定歩合の調整、衆議院解散などでは嘘をついてもよいとされ、政治家の駆引きとして必要かつ正当?な手段と見なされる。何故か公約違反などもこれに便乗する感がある▼「綸言汗の如しとこそ承れ」との言葉がある。一度口にした君主の言葉は、汗が再び体内に戻らないように、取り消しできないの意で、権力者は自分の言葉に責任を持て、との政治家の要諦を指す▼かつての英首相チャーチルは「過去に言ったことを説明し、撤回し、まして弁解しようなどとは毛頭考えない」と言う一方で「自分の発言が十日後、一年後、十年後に実現しなかったら、なぜ実現しなかったか、国民を納得させる説明が肝要」とも言っている▼「改革なくして成長なし」か「成長なくして改革なし」かの争点は何やら鶏、卵いずれが先かの論争にも似る。ともかく行財政、経済金融、教育、国防・治安等国民はこの国の行く末に不安を抱く。誰が総理になろうとも、将来ビジョンを明確にして、これだけは短絡的でない、説明責任がなされねばならないと思う。

(2003/09/13 掲載)

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