行雲流水

 ♪「ああ栄冠は君に輝く」。7日、第85回全国高校野球選手権記念大会が開幕、連日熱戦が展開されている。そして、いよいよ今日の第1試合に県代表の沖縄尚学高校が登場、市岐阜商業高校と対戦する▼沖縄尚学のエース広岡は速球を主体に切れの良いスライダーが武器、守りはかたく県大会6試合で無失策である。対戦相手の市岐阜商業のエース加納は大きく縦に落ちるフォークが魅力だという。沖縄尚学の主将は3点以内の接戦で勝ちたいと言い、岐阜商業の主将は鍛えた守備を発揮したいと述べている。少数得点の試合になりそうである▼高校野球の魅力は、そのひたむきさにある。1人びとりが力を出し切って、きびきびとしたプレーをする。青空に白球が飛び、選手たちが全力疾走する。惜しみない拍手でスタンドが揺れる▼思えば、甲子園の高校野球は県民に多くの感動を与えてきた。昭和33年、首里高校の初参加に大観衆の祝福と激励の拍手。興南旋風。豊見城高校全盛時代。平成2、3年連続準優勝に輝いた沖縄水産。21世紀枠で出場して大活躍した宜野座。そして平成11年沖縄尚学は、ついに全国を制覇した▼米軍統治下の沖縄球児に甲子園への道を開くのに尽力された日本高野連の佐伯達夫氏は「戦後、あらゆる面でおくれている沖縄の復興はまず高校野球から」というのが口ぐせだったという。高校球児のみならず、県民にあたえてきた「希望」には計り知れないものがある▼沖縄尚学ナインが、持てる力を発揮して、素晴らしい試合をするよう期待したい。

(2003/08/14 掲載)

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