行雲流水

 共同体的な性格を有した旧来の地域社会から、激しい変化に対応する新しいかたちの社会への構築が模索されている。おそらく、その成否を決めるのは、「人」であり、各段階の組織のありようである。残念ながら、最近の諸事象は、私たちの地域社会の歪みや未熟さを示して余りある▼その1つは、言うまでもなく、沖縄宮古商工会議所の使途不明金問題である。会員事業所を対象に、自己資本の充実や従業員の福利厚生を図る目的で導入された商工貯蓄共済制度の積立金の一部が私的に流用され、多額の使途不明金が生じている問題である。流用した個人はもとより組織の責任は重い。不満や不信が残ることのないよう、組織の適切な対応が求められる▼住民や、自治体における行政手法にも問題が多い。上野村では、産廃処理施設が許可なく造られ、事後手続きで稼働させようとした。選挙で相手候補を支持した者へは、公共工事の入札で差別すると公言した首長もいた。城辺町における公金紛失事件への対応はのろい。トゥリバー地区埋立地の売却問題では、契約会社への疑念や臆測が起こるのは当然。開かれた市政とは言い難い▼「選挙」では、住民の権利が著しく侵害されている。不正は後を絶たないし、不在者投票者の異常な多さにも、投票の自由に対する侵害があるとみていい▼住民の権利意識と、その衝にある者の責任が厳しく問われている▼伝統的な地域文化を大切にしながら、各界の自助努力と連携によって、未来に開かれた社会づくりに努めなければならない。

(2003/07/16 掲載)

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