行雲流水

 夕暮れどきになると、街路樹が影を落とす歩道や林の中の遊歩道、グラウンドなどでウオーキングをしている人を多く見受ける。中には、ビニールの袋を持って、空き缶を拾いながら歩いている人もいる。話を聞くと、最初はそのつもりはなかったが、空き缶やビニール片が目障りになって拾うようになったという▼世の中には、無神経に捨てる人がおり、ほっておけずに拾う人がいる▼輿(こし)さん夫妻は、久松漁港やその周辺を散策しながら、毎日空き缶をひろっている。13袋分も拾った事があるという。最近、地元住民のポイ捨ては減ったが、他地域から若者たちが来て、車座になって宴を張るのだが、終わると、人だけが居なくなった状態で、空き缶やびん、つまみの残りやつつみ紙などがそのまま放置されていることがあるという▼時々、児童・生徒がボランティアで缶拾いをしている。環境が奇麗になるだけでなく、拾った生徒は、将来捨てる大人になる確率は低いだろうから、いいことである。理想は各家庭で「塵は持ち帰るもの」という実践を習慣化することである。現実には、不心得者がいる。地域では、空き地や小公園などを定期的に点検し、共同作業で環境を守る組織的な取り組みが求められる▼輿さん夫妻は、10年前宮古を訪れ、海の美しさに魅せられ、念願かなって4年前に久松で家を建て、住んでいる。最近、東京の知人も宮古に移住することを決めたという▼私たちは、この自然を誇り、大切にしたい。そして、地域の魅力は自然環境だけでない事も自覚したい。

(2003/07/02 掲載)

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