行雲流水

 在日米軍の地位や権利などを定めた日米地位協定の抜本的見直しに向けた国民的機運を盛り上げるため稲嶺知事が全国行動を行っている。要請では、人権保障や環境保全など国民の生命、財産、生活を守る上で多くの問題点があることを指摘、基地を抱える東京都、神奈川県、北海道、長崎県の各知事の協定見直しへの賛同を得ている。地元でも、与野党を網羅した県民大会開催への動きが始まった▼1995年、米兵による少女暴行事件の直後、8万余の県民が県民大会に結集して抗議、基地の整理縮小と共に、地位協定の改定を求めた。しかし、米兵による犯罪は後を絶たず、この5月にも、忌まわしい事件が金武町で発生した▼地位協定では、米兵が事件を起こした場合、起訴までは容疑者の身柄は日本側へ引き渡さないことが原則になっている。これでは、容疑者の取り調べが十分に行われず、起訴そのものへの隘路となる▼この件に対して、日本政府は相変わらず、運用の改善で対処するという姿勢である。日米合同委員会では、凶悪犯罪については起訴前の身元引き渡しについて、「好意的考慮を払う」という屈辱的な言葉で合意がなされている▼ところで、県の「地位協定改定」全国行動について、全国紙がどう報道しているか調べてみたが、ほとんどで無視されている。沖縄の「基地問題」についてのこれまでの姿勢をみると、さもありなんと思う▼県内でも、復帰後は事大主義がはびこるようになった。復帰前のあの気概こそが重要で、未来を開いていくに違いない。

(2003/06/18 掲載)

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