行雲流水

 昨年10月米国議会は大統領にイラク攻撃の『非常大権』を与え残すは国連安保理で承認されるだけだった。フランス・ドイツ・ロシアは攻撃の正当な根拠はないと正面切って反対した。米国市民や米マスコミの中からも反対の声噴出。コメディアンや漫画家たちはブッシュ大統領のイラク攻撃論を笑いのめした。(映画評論家町山智浩)▼「査察団がイラクで何かみつけたら戦争だ! 見つからなかったら隠しているに違いないから戦争だ! 隠していないというのならウソだから戦争だ。ウソをついていないというのならウソだから戦争だ!…このように選択の余地はいろいろと残されている」▼これは安保理でイラク攻撃論が火花を散らしていた最中米国各紙に掲載された漫画の中で強弁するブッシュ大統領の言。かくて国内や国際的戦争反対の声に逆らい国連憲章に対する違反と警告されながらも敢行されたイラク攻撃▼あまたの人身殺傷。国土の壊滅的破壊。世界4大文明の尊い遺産の略奪破損等々。戦争が非人道的でいかに酷い災禍をもたらすものであるか熟知の上でのイラク攻撃▼その口実としてブッシュ米政権が執拗に繰り返してきた大量破壊兵器や生物・化学兵器は攻撃終了2カ月過ぎた今なお発見されていない。攻撃は意図的な情報操作によるものとの疑惑まで浮上してきた▼「戦争は見下げた卑しむべきものであり―このような人間性を冒涜する汚点はただちに払い去るべきである」(アインシュタイン「私は信ずる」より)

(2003/06/13 掲載)

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