行雲流水

 不妊などで「子どもを授かりたい」と願をかける方々もいるが、生み分け可能な現代は「子を授かる」のではなく、「子を作る」時代だそうである。もっとも高校生などが、つい、うっかり、授かっちゃうことは別にしてである。結婚や出産などへの古典的な考えは、既に崩壊しているようだ▼厚労省の出生動向基本調査で結婚五年未満の若い夫婦が理想とする子どもの数は2・31人だが、生む予定の数は1・99人と初めて2人を切った。少子化は晩婚化や非婚化が最大の原因ではなく、結婚しても子どもを作らない夫婦の増加にあるという▼その傾向は、1960年代前半生まれの女性に顕著で、20代でバブル経済の体験が、その後の不況で収入が伸びず、年金などへの不満もあり、「生み損」というのが、この世代の心情らしい▼政府は新エンゼルプランなどの育児サポート充実策と児童手当ての2本柱から、昨年9月「少子化対策プラスワン」の新対策を発表した▼その目玉は男性の育児参加だが、どの施策も子育て中の家庭の助けにはなるが、これからの世代を「子どもを生もう」という気にさせる即効性はないとの評が強い▼一方で、少子化悲観論に異議、人口減少は、豊かな社会へ転換する好機だとの主張もある。確かに、この狭い国土で人口が増え続ける場合のことを想定すると大問題だが、労働人口の減少は、女性や高齢者が代わればよい、世界一高い日本の年金は減額可能など、とのことでこの問題の解決になろうか。

(2003/06/06 掲載)

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