行雲流水

 沖縄県は平均寿命全国第1位を長期間にわたって誇ってきた。1995年には「世界長寿地域」を高らかに宣言してもいる。ところが、このところ女性はかろうじて1位を保っているものの、男性は急落、若年層の死亡率は全国平均より高くなっている▼長寿を支える要因には、食生活、気候風土、県民気質や人間関係、医療や社会保障等いろいろあるだろうが、「医食同源」と言われるように健康、ひいては長寿に「食」は最も大きくかかわっているとみていい▼ところで、わが国の食生活の乱れが指摘され、その影響が危惧されるようになって久しい。「個食」と「孤食」が言われる。おにぎりや菓子パンだけをだまって食べる「孤食」。人ごとではない。身近かなコンビニの周辺では若者たちが黙々と食している。ちなみに、コーラやジュース等の清涼飲料水の消費量は全国一である。食生活の歪みからくる噛む力の低下や味覚障害は悲惨とさえ言える▼沖縄の長寿を支える要因として、沖縄の伝統的な料理が指摘されてきたが、多くの場合、若者はその恩恵を受けていない。食生活は便利にはなったが、人は流通する食材に不安を抱き、健康器具や健康補助食品に走る▼責任は家庭や個人だけにあるのではない。Aコープ下地店では店の活性化と地産地消(地域で生産した物をその地域で消費する)で地域農業の振興を目的に地元産の新鮮な野菜を販売、生産者にも消費者にも喜ばれた。1歩進めて、消費に即応した供給体制の確立に努めてほしい▼食に「ぬくもり」の再生を。

(2003/06/04 掲載)

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