行雲流水

 那覇市教育委員会は平成17年4月開校予定の小学校校名について公募。新都心地区の新設校名とあって多彩な名前が数多く寄せられたという。学校予定地域に住む「銘苅羽衣会」の幹事屋嘉比さんも名乗り出た▼予定校地は玉城朝薫の組踊『銘苅子』とゆかりが深く校名には通学児童が愛着のもてる『銘苅』をぜひ!と詳細な理由をあげて新聞紙上で公表した。いわく「当地は歴史に名高い銘苅が丘とうたわれた地域」▼「組踊『銘苅子』羽衣伝説発祥の地で近年は首里王家側近の別荘等もあった由緒ある地。戦後米軍の強制土地接収によって多くは見る影もなく様変わりしたが天女沐浴説のカー(泉)も伊是名殿内墓も現存」▼「地域住民の教育環境への思いは深く戦後世代の子孫に対する地域教育の1つとして屋号まで調べ戦前の『銘苅民族地図』も完成した」と居住する地域名に誇りをいだき切々と訴えた▼戦後の一時期県内には沖縄色の濃い姓名や古来の地名を厭い『大和風』に改姓改名することを是とする風潮があった。「中央対地方」の構図にはびこるいわれなき優劣感に陥っていると指摘された▼ところで宮古方言の場合発音殊に「中舌母音」の文字化は容易でないため近似音の当て字を用いたりして表記している。が、発音のみの不用意な当て字転化は地名本来の発音やその由来までゆがめてしまう結果を招きやすい。屋嘉比さんの地名保存の熱意は頼もしい。5月1日那覇市立36番目の小学校校名は正式に『銘苅』と決定した。

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