行雲流水

 森山良子のコンサートが15日、マティダ市民劇場で行われ、つめかけた聴衆を魅了した。会場には、開場前から、長蛇の列が出来、森山良子の人気のほどがうかがえた▼森山良子の魅力はなんといっても、澄みきった声の魅力である。また、自ら作曲したデビュー曲の「この広い野原いっぱい」や、「今日の日はさようなら」から受けるさわやかな印象がある。声の美しさには天性のものがあると言われ、19歳で、フォークの女王ジョーン・バエズと共演している▼何よりも、私たち沖縄の人にとって、森山良子は復帰のころから現在まで「さとうきび畑」を歌い続けた歌手である。その間、NHKの「みんなの歌」や「紅白歌合戦」で歌い、この歌の思いを全国に広げていった。近いところでは、夏川りみを世に出した「涙(なだ)そうそう」の作詞家として、親近感を覚える▼「さとうきび畑」に続いて、90年代にはザ・ブームの「島唄」がブームになり、県内からは「りんけんバンド」や喜納昌吉、「ネーネーズ」や「ディアマンテス」などの歌が出て、「沖縄ポップス」と名づけられて、全国に旋風を巻き起こした。安室やキロロなどの歌手もきら星のように輩出する。現在は、バンド・ブームがあり「ビギン」の活躍もたのもしい▼ともあれ、優れた歌の力は凄い。森山良子は、「サトウキビ畑」の重いテーマを表現するのに「ざわわ ざわわ」の歌い方に苦労してきたという▼「ざわわ ざわわ」は単なる音ではなくなる。「自然は芸術を模倣する」(ワイルド)。

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