行雲流水

 91歳で、なお、かくしゃくたる現役の医師・日野原重明聖路加国際病院理事長が、「創(はじ)めることを忘れなければいつまでも若く、老いない」(哲学者マルチン・ブーバー著「かくれた神」)に共鳴し、ご自身のスーパーマン的活躍ぶりも併せ、人々の生き方、特に老人らに極めて示唆に富むことを書いている(文春五月号)▼「60の手習い」というが、もっと年を重ねた75歳からでも、何か新しいことを創めることで、自分の中にある様々なよい遺伝子を掘り起こし、それを育てることができよう▼多くの人は、自分には音楽や文学、数学や科学などの才能はないなどと決め付けているが、創めることで、眠れる遺伝子を呼び覚まさせることができると説く▼なるほどと思わせることが、我が身辺にもある。80歳のエージシューターあり、鈍足が定年後12秒台の駿足に変身し、老いて益々棋力の向上を見る等々である▼絵画鑑賞と洒落ても、描となると、からっきし駄目で、かつて絵の具やカンバスなどを買い込んだものの未だに果たせない。俳句や短歌も同様で、わが遺伝子は目覚めようか▼ところで「宮古ペンクラブ」発足は、地域の文芸、文化活動を掘り起こすという視点から極めて意義深く、「創ることから」を合い言葉に、老若男女を問わず読者諸氏の参加により地域の文芸、文化の発展につなげたいものだと思う。芸術性を求めるのもさることながら、心の表白ということもあろう。

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