行雲流水

 一般への定着が不十分でわかりにくい「外来語」(いわゆるカタカナ文字)乱用の風潮に対し国立国語研究所はようやくと言うべきか神輿(みこし)をあげた。そして去る4月25日62語の言い換え例を最終発表した▼しかし遅すぎたと指摘する声は少なくない。多年にわたってはびこってきたこの風潮に慣らされ育ってきた世代はすでに国民の過半数を超えており母語(日本語)感覚にうとい同世代にとって言い換えることは容易ではないとの指摘である▼確かにカタカナ文字(外来語)の氾濫は若年層の言葉の乱れと共に久しく国民のひんしゅくを買ってきた。それでも大方の国民にとって意味不明の外来語がひとり歩きしている状況は何も変わっていないといっていい▼若年層の言語感覚への影響は大といわれているマスコミの用語や国や地方自治体の施策書に氾濫するカタカナ文字の表記者の多くは『慣らされてきた世代』だからか▼本紙のかつての随想欄『無冠』でも「リニューアルオープン」(新装開店)「バリアフリータウンプロジェクト」(障壁のない街の開発計画)などなど…「なぜカタカナ文字(外来語)か」と再三取り上げて批判してきた。5年も前にである▼国語研究所は昨年12月「中間発表」した言い換え例に対し国民から意見を広く募って再検討。今回最終発表した。が、同研究所を所管する文部科学省や文化庁の公文書や施策書の文面には今なお外来語が多用されていると言う。隗(かい)より始めよである。

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