行雲流水

 この4月23日から5月12日までは第45回「こどもの読書週間」で、各地で、読書の普及・推進のための取り組みがなされている。読書推進協議会の掲げる今年の標語は「大切な1冊、一生のともだち」である。また、文部科学省は「たくさん読もう、楽しく読もう」と呼びかけている▼子供の本との最初の出会いは、読み聞かせで、大好きな父親や母親と1つの世界にひたることであろう。その喜びは子供だけのものではない。哲学者の鶴見俊輔氏は、子供に読み聞かせた思い出をもとに書いている「子供と親との共有する世界は私個人の中に住みついて、80歳近い老人になった今も、世界を引き受ける受け皿になっている」▼さらに、家から1歩外に出て、多くの友達と一緒に、より広い本の世界に触れることもまた楽しいことに違いない。先週の土曜日、平良市立図書館では第774回の「おはなし玉手箱」が開かれていた。母親に抱かれた小さな子供から小学生までの子供たちが多数集まり、図書館員やボランティアの熱演による「おはなし」や、「読み聞かせ」、「紙芝居」に、真剣な眼差しを向け、身を乗り出さんばかりに熱中していた▼家庭や学校でも、望ましい読書環境を整え、発達段階に応じて、適切な本に触れさせ、知的好奇心や感性を育てる機会を広げたい。好奇心は疑問をうみ、真実の探求につながっていく▼混沌としていて、希望も真実も見えにくい世相である。子供たちに、豊かな知識と判断力、それに希望を育てる上で、読書はいよいよ重要になっている。
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