行雲流水

 イラク情勢がテレビ映像で連日茶の間に飛び込んでくる昨今、報道する側の用語に懸念と疑惑が取り沙汰されてきた。事態の実相を正しく表現していない。意図的に言葉を操作し実態を隠蔽(いんぺい)しているのではないかとの懸念や疑惑である▼報道は一様に「イラク戦争」と表現しているが識者は「主権国家を自国の都合で一方的に武力攻撃することは『戦争』の概念では語れない。それは『侵略』そのものである」と直言する▼米英軍の凄じい空爆下のイラクで人間の盾として悲惨な戦禍を体験してきた東京都の会社社長も開口一番「侵略者が解放軍ぶっている」と憤っていた▼米英軍が首都バグダッドに急迫した時報道メディアに登場した軍事評論家なる者は「作戦(進撃)は順調に展開されている」と評した。大量の高性能科学兵器がイラクの国民や国土を無惨に殺傷破壊している現実を『順調』と当然視▼安保理で米国がイラク攻撃を正当化する根拠として強調したのは大量破壊兵器と生物化学兵器の存在。しかしイラク全土を掌握した今なお1つも発見されていないという▼安保理の多国を蚊帳の外においてのイラク攻撃の『根拠』証明は危うくなってきた。疑心暗鬼か米高官は隣国シリアに移動した疑いがあると言い出した▼コカコーラ片手に松井選手の満塁ホームランに沸く米国。大義の乏しい空爆で最愛の家族を殺傷され住処も跡形もなく破壊されて失意のどん底に打ちのめされているイラク国民。武力介入で平和と自由は築けるか!

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