行雲流水

 「水の惑星」と言われる地球だが、そのほとんどが海水で、淡水は約3%、しかも大半が南極などの氷や地下水として閉じ込められ、人類が利用出来る表流水等は0・02%程度である▼国連や世界資源研究所は「世界の水不足は、今世紀の最も緊急な資源問題の1つになるだろう」と警告している。水不足を、先進国企業等の市場経済化、つまり水資源の商品化と取引の自由化という市場原理で解決しようとする考えもあるようで、水も金のあるところへと流れるのであろうか▼ところで、これまで国際水学会等で「地下水」は主要なテーマとならなかったが、今回の第3回世界水フォーラム、地下水セッションでは地下水の重要性をアピールできたという▼その一端を担った宮農環境班の「Bio−P(バイオ・リン)」による「宮古の水を守れ」が、国際的にも、さらに高い評価を受け、世界へ発信できたのは喜ばしい▼昨年10月の日本地下水学会宮古島大会で宮古の地下ダムについて、古川博恭氏は基調講演で、長い歴史をもつ本土の水田のような水利用の経験がない地域で、島全体にわたる地下水灌漑が自然環境に及ぼす影響とその対策等への多角的なアプローチが肝要であると述べている▼地下ダムによる新たな水循環への警告とも取れよう。アラル海の悲劇と砂漠600万ヘクタール灌漑の失敗は、自然環境がいかにデリケートであるかを物語る。自然のリズムと環境の保全、「命の水を守る」に注意のし過ぎはないであろう。

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