行雲流水

 平良港トゥリバー地区埋立地の問題が脚光を浴びている。周知のとおり平良市は昨年12月同地の41%余にも相当する地積について浦添市のコンサルタント会社と売買契約を結んだ。しかし会社は契約金40億9800万円はもとより未払い責務の延滞金納入も果たしていない▼埋立地の目的は生態系を活用した「自然」宮古島の伝統文化を反映した「風土」を基調に日本を代表するにふさわしい美観・親水性を備えた快適で魅力的な海浜リゾート空間を形成することであった▼企画立案にあたっては琉大・東京農大・ランドスケープデザイン研究所・コースタルリゾート研究会・前運輸省港湾技術環境関係・沖縄県総合事務局など各分野の専門家が参集▼平良市助役や市民の3名も参加して「トゥリバー地区景観検討委員会」を立ちあげた。この種の大型プロジェクトへの市民参加は県内初の試みだと当時の平良港工事事務所所長は胸を張った▼地元視点に立った『市民委員』は原案を幾つか修正させた。最大の修正は陸続きの埋め立てをやめさせ海岸線はそのままに「出島方式」の造成に変更させたことである。議論は難渋したが緑豊かな海岸線は残った。海岸と埋立地間には長大な河川状の『水路』も誕生した▼かくて当地は全国屈指のリゾート候補地となるはずであった。バブル経済がはじけ現実は厳しい。現状について市当局を責めることは得策か? 議会は前述の問題点を不条理に幕引きさせないよう行政共々監視を強化すべきである。

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