行雲流水

 いま、川柳がよく話題になる。その機智と鋭い批判精神が共感を呼ぶのだろうか。古川柳の中で風刺句の代表とされるものに「役人の子はにぎにぎを能く覚え」という句がある。賄賂を取る役人を風刺した江戸時代のものだが、今でも色あせることがない▼『朝日川柳』には次のようなものがある「女神像トーチを銃に持ちかえる」。世界の大勢が戦争反対である。カーター元米国大統領も平和的解決をと訴えている。また、アナン国連事務総長は「攻撃は国連への挑戦だ」と述べている。何が、ブッシュをこうまで好戦的にするのだろうか。川柳は語る「死の商人だけほくそえむ世界地図」▼「大胆に骨抜きをする柔軟さ」。改悪だけが目について、不況に有効に対応できない政治のもとで、例えば「仕方なく応募のはずが断られ」(『OL川柳』)と状況は厳しい。さらに、「税調は取り方ばかり答申し」。税金も医療費も上がる。国民は生活防衛のため少しでも安くて良い物を買い求める▼「だまされたつもりで買えとだましてる」。先日、バーゲンでお金の良く貯まるという財布を買ってきたが、まだ貯まっていない。「信用も焼いてしまった日本ハム」などと世相を切って見せる▼同じ物でも、見る人によって見え方は異なるものだ。『沖縄の世直し川柳』にいわく「ジュゴン見て感動をした反対派」、「ジュゴン見て心配をする賛成派」▼「世界地図白にしておく新秩序」。白一色の砂漠はご免だ。口ぐせに「愛が無ければ人生は砂漠だ」と言う友人がいる。世界も同じである。