行雲流水

 過日県(主管・農林水産部みどり推進課)は県内市町村に現存する大木23本を「名木」と選定し発表した。名木の要件は高さ13メートル以上幹周り3メートル以上樹齢70年以上で姿が美しく市町村が自慢できる樹木である▼宮古圏域では平良市から「ガジュマル」多良間村から「センダン」と「アカギ」の3本が選ばれた。2006年度までに100本を選定し『沖縄県名木百選』として指定するという▼件のガジュマルは平良市民運動実践協議会グリーン部会が市内の樹木138本を実地踏査して76本を選抜、市民主導では県内初の写真集として出版した『平良市の老木・巨木』(平成3年)の中にも登録されている▼調査時の枝張りは東西22メートル南北19・3メートル胸高幹周り6メートルの屈指の巨木。12年の歳月を経た今日さらに逞しく生長、威風堂々の偉容を誇っている。この『樹』あるが故に敢えて開店したと隣接の居酒屋経営主は目を細めた▼市内に健在する老木巨木を足掛け5年にわたって調査したグリーン部会は過酷な風雨にも耐えて多年生き永らえてきた樹木を「健康な自然環境の象徴的証」と位置づけ後世に保存継承すべきと強調した▼写真集『老木・巨木』は取り上げた樹木を単に植物生態的記述にとどめずその樹木がいかに地域や集落の人々にとって恚L念木・象徴木・由緒木・景観木・信仰木搏I樹木として深くかかわってきたかに視点を据えた。老木巨木の存在は観光立県上も欠かせない。「名木」選定はまさに時宜を得た取り組みである。