行雲流水

 テレビが誕生して50年になることを記念して、関連するいろいろな番組が放送されている。沖縄放送協会OHK(NHK沖縄放送局の前身)が設立されて、宮古・八重山で放送が開始されたのは14年遅れの1967(昭和42)年である▼この年の連続テレビ小説の『旅路』と、連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の奇想天外な夢と冒険の物語に大人も子供も引き付けられた。ドンガバチョと愉快な仲間たちが懐かしい▼今では、情報源として、また、教養を高め、娯楽を楽しむものとして、テレビは茶の間になくてはならないものになっている。一方で、テレビ放送3年目にして、はやくも大宅壮一はテレビのもたらす影響を「1億総白痴化」と称した。青少年をはじめ社会に対する影響が問題にされ、番組の低俗さが批判の対象となったもので、その傾向は今なお続いている▼目立つものに価値あり、という風潮を助長、世の価値観をゆがめている側面も否めない。プロジェクトXの主題歌『地上の星』は、本来の星を、星たらしめねばならないことを気づかせてくれる▼それにしても、世界の情報から目隠しされて、独裁政治下で苦しむ人々が哀れである。また、「先に戦争ありき」の論理で一方的に配信される情報の信頼性が問われている▼『ひょっこりひょうたん島』から43年ぶりの、井上ひさしの新作でドン・ガバチョたちは「政治家たちの頭の良くなる薬」を考える。「異質なものを受け入れる。だが、権威を求めない」、『ひょうたん島憲章』の先見性が光る。