行雲流水

 『ちゅらさん』の健康で明るいイメージとは裏腹に、沖縄の社会はどこかおかしい。その一つ、本県の教職員の病気休職者は大都会並で、精神的な理由による者もかなりの数にのぼる▼こうした状況を背景に、県は、県立学校職員を対象に各地区に相談員を置き、教育相談に当たらせている。先日、その情報交換会が開催された。相談事業は十分に機能しているとは言い難いが、それでも、平成14年度は2学期末現在200件余の相談がなされている。順番をきめて相談が行われる学校もある▼各学校では特色ある学校づくりがなされ、それなりの成果をあげているが、生徒に学習意欲や基礎学力、規範意識やマナーの欠落があり、学習規律の確立に苦慮している学校も多い。事態は深刻で、来年度は、授業をサポートする専任の教師が数校に配置される▼もう一つ、教師間の人間関係の希薄化が憂慮される。特に、世代間の意志の疎通が十分でない。職員間ならまだしも、この傾向が教師・生徒間にもあると、教育が教師と生徒の信頼関係をベースに成果をあげ得ることを考えると、教育の根幹にかかわる問題といえる▼さらに、多忙さが指摘される。コンピューターの活用も、諸会議や研究、改革等も必要だが、それは、生徒の望ましい変容に結びつく場合にのみ意味を持つ。生徒と向き合ったり、授業を工夫することの大切さを忘れてはなるまい▼教師は教育についての専門家である。苦労は多いが、喜びもある。原点を踏まえた創造的な教育で、父母の信託に応えてほしい。