行雲流水

 20世紀が終わりを告げつつあった時マスメディアに登場した著名な識者の大方は21世紀は「平和・知性・豊かな環境を確立する世紀となるであろう」と強調していた。世人は期待や希望を込めてそうでありたいと願った▼米ソ間の東西対立はなくなり世界大戦の不安は解消されたというものの地球のどこかでは民族問題や宗教問題と政治情勢や経済事情の不安定が連動して国内紛争が頻発していたからである▼紛争の悲惨な現実がテレビの生々しい映像で連日のように茶の間に飛び込んでくる時世にあっては他国のことと見過ごすことはできず来世紀(21世紀)こそは真の世界平和の世紀でありたいと願ったのである▼しかし輝ける21世紀を迎えたはずの人類は今再び戦乱の世紀に逆行しかねない危機に直面している。大統領自ら世界最強の軍事力と自賛する超大国米国とイラクの一触即発の第二次「湾岸戦争」が避けられそうにないからである▼テロ撲滅の大義とはいえ武力で他国の主権を圧殺する行為が平和をもたらすものでないことはドイツ・フランス・中国・ロシアや国際世論もひとしく指摘しいさめている▼問答無用の力で追いつめれば「窮鼠(きゅうそ)猫をかむ」で力の応酬の武力テロの続発が確実視されているゆえにである。同一民族として南北朝鮮の統一を期して粘り強く融和策(「太陽政策」)を推し進め55年ぶりの両国首脳会談を実現させた金大中韓国大統領にノーベル平和賞が授けられた真意に思いを深める時である。