【 記者の目 】  紆余曲折経て下地氏決定も…

新市市長選保守系選考委 今後も続くドタバタ劇

 分裂回避を掲げ、新市市長選に向けて発足した保守系の候補者選考委員会(比嘉米三委員長)が十一回目の協議を経て二十五日、ようやく城辺町助役の下地敏彦氏(59)の擁立を決定した。しかし、三人の候補対象者が当事者同士の会談を別席で行っているさなかの決定だったことから「分裂解消」「一本化」の大前提の目的は達成されないままで判断が下された。下地氏に決定後、一部から選考委執行部に対する不満が噴出。さらにそれに対する不満も出るなど裏側ではさらなる問題が発生している。
 ■ 四者会談
 二十四日に行われた四者会談には、候補対象となっている下地氏と前県議の坂井民二氏(55)、城辺町長の仲間克氏(66)、野津商事社長の野津武彦氏(63)全員が顔をそろえ協議した。
 話し合いは、四者とも新市市長選に向けた強い意気込みを示し、協議による一本化の調整はできなかった。不調に終わったことで翌二十五日の選考委で候補者を決定するとの方針を比嘉委員長が四氏に確認。坂井氏は「波風は立てない」との姿勢を示し、そのほかの三人は従うと返答したようだ。
 この段階で決選投票の色合いが濃くなり四氏とも水面下で激しい多数派工作の攻防戦がスタートした。
 ■ 多数派工作
 四者会談決裂を受け、ほぼ決選投票の色合いが濃くなったことから、委員の意向をそれぞれ見極めようと水面下で激しく動き、票読みを行いながら各氏とも情報収集と整理に躍起になった。
 最終の判断が下される二十五日の朝から、いろいろな情報が飛び交い多数派工作は混迷を深めた。
 午前中の段階で、決選投票では仲間氏有利との情報が流れ、さらに多数派工作は活発化した。しかし、飛び交う情報も思惑を秘めたものも多く、同日の午後からは行き交う情報の整理が始まった。
 こうした動きの中で野津氏が意向を取り下げるとの情報が流れた。これについて野津氏は「各方面と調整して下地氏で一本化できるとの条件付きで、降りてもいいといったがその条件ができないまま『降りる』との情報だけが先行した。調整のやり方は納得できない」と述べた。
 ■ 十一回目の選考委
 二十五日の午後五時半から行われた選考委は、野津氏が意向を取り下げたとの報告を受けてから三氏での調整がスタートした。
 三氏による話し合いが別席で始まり選考委はその報告を長時間待ち続けた。三氏の協議の仲介役となった中尾氏が選考委に戻り、互いに立候補の意向を示し続け協議がまとまらない状況が報告されたようだ。
 中尾氏が選考委を離れ三氏のもとに戻った後、選考委は全会一致で下地氏に決定したことをマスコミに発表。この急展開に中尾氏、仲間氏、坂井氏の三人が不満の声を上げ、中尾、坂井の両氏は翌日会見を開き選考委執行部を批判した。
 しかし、中尾氏の動きについても一部の委員から不満の声も出始めており、今回の決定方法、その後の動向をめぐっても新たな問題になることも予想される。
 ■ 主導権争い
 保守系がどのような形で選挙を進めるのか先は全く見えない状況でいつしか、各方面の動きは選挙で勝利したいという思惑と保守系の主導権争いが同時並行で動き出して、選挙本番を前に身内同士の激しいせめぎ合いでお互いに一歩も引かない状況が作業を混迷化させた。長引く選考作業でさらなる確執も生まれ、その事態収拾が図られないまま選考委は二十五日を迎えた。
 選考委が保守系内部の問題点を解消した部分はほとんど見られない。しかし、それほど保守系内部の溝は深いとも言える。今後、選挙戦は本格化するがこれまで通りお互いの主張と思惑を固執し続ければ分裂解消となる日は遠のくばかりとなっている。

                                  (垣花尚記者)

 

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