【 記者の目 】  「在任特例」住民に説明を

「選ばれし人たち」の見解問う

 ようやく枠組みが5市町村となり円滑な論議が期待された合併論議が、ここにきて議員身分をめぐり激しい論戦が展開されている。合併推進協議会の在り方などについて城辺町議会は疑問と怒りの声明を発表した。その内容は平良市議会や推進協議会の住民代表に対する不満が示されている。一方で同町同様に「地域の声を合併新市に反映させたい」との意向で在任特例を求めている伊良部町議会の12月定例会では一般質問の通告がわずか3人。住民の声を行政に届ける大切な機会を無駄にする状況に「選ばれし人たち」の姿勢に疑問を投げ掛ける声も出ている。

■城辺町議会の声明
 同町議会の声明文は、「在任特例7カ月適用」と「議員定数30」を基本に、「議員身分の検討委員会で決定している事項を一蹴する合併推進協議会の委員と同検討委には『権力の差』があるのか」や「在任特例は『悪』であるという意見には到底、納得できない」「平良市議会の方向転換はおかしい」「検討委の決定を尊重することを強く求める」などとしている。

■在任特例は「悪」か
 検討委員会の報告は「尊重」されてしかるべきである。しかし、その決定事項が必ずしも協議会の決定と同一になるとは限らない。逆に検討委の決定がそのまま協議会決定事項となるのであれば協議会委員の存在意義が問われる。
 また、在任特例は「悪」ではない。むしろ、住民のためであれば適用すべきである。しかし、適用の大前提は「議員のため」ではなく「住民のため」である。
 議員は「選ばれし住民の代表」。この問題について同検討委員会の半分を占める住民代表のうち一部は「適用」を認めたが、多くは在任特例適用に反対姿勢だった。だからこそ、協議会の住民代表委員から同様の指摘が出されることも理解できるし、その指摘や見解について議員はまず考慮すべきで対立すべきではない。感情的に「検討委員会の決定事項を尊重すべき」の意向を示すよりも「在任特例」がなぜ住民のために必要かを住民が理解できるように説明すべきである。

■「選ばれし人たち」
 伊良部町議会12月定例会の一般質問を通告したのは議長を除く17人の議員のうちわずか3人。同検討委員会で同町の議員代表は在任特例の適用理由について「郡部の声をしっかりと新市の予算などに反映させる義務がある」などの理由を示した。
 しかし、住民の声を行政に届ける最も良い機会であるはずの一般質問を合併を控えた大切な時期であるはずの今も行わないことは理解できない。
 こうした姿勢で在任特例を求めるから住民の理解を得ることが難しい状況になってくる。
 議員とは住民たちから「選ばれし人々」である。合併論議は「議員とは何か」を住民が真剣に考える機会にもなっている。「在任特例適用」「議員定数30」は「悪」ではないし、善悪の問題でもない。議員が適用の理由として示す「住民のためである」とする見解についてもっと説得力のある説明を求めたい。


                    (垣花 尚 記者)   (掲載 2004/12/21)
 

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