編集局データ
2004年の耕地面積
 県全体39,700f  宮古地区12,000f
 ※宮古は県全体の30%
2004年農業粗生産額
 県全体900億円  
 宮古地区126億円
 ※宮古は県全体の14%
 宮古の土地生産性は県平均の半分と低くなっています 

 

一致団結 宮古農業の発展を/キビ中心の輪作構築がカギ

砂川光弘農林水産調整監調整監

 ◇宮古気質の発現が発展の基本
 宮古の先人たちには、先取性の気質がありました。下地親雲上は祭温より百年前に造林を始めました。砂川親雲上は、野国総監より八年前に宮古にイモを持ち帰っています。団結、実践行動力も宮古の人は強いと言われます。人頭税の廃止は、この強い精神力がなければ、成し得なかったでしょう。農業をはじめ宮古の発展は、このような本来の宮古気質の発現が基本になると思います。
 ◇土地利用高度化課題
 戦前の宮古ではサツマイモ、水稲、サトウキビ、豆類などの輪作が行われていました。輪作は土地の高度利用を促進します。しかし、宮古のこの伝統的農法は、昭和三十六年ごろのサトウキビブームの到来により壊れ、その結果、土地利用率が低下し、地力の維持・増進が大きな課題となっています。生産を上げる上では、限られた農地の高度利用化や地力の維持増進対策が重要になります。
 サトウキビは、昔から宮古の経済を支えてきた大事な土地利用型作物です。約一万二千fの畑の利用は、サトウキビを抜きには考えられません。台風、干ばつに強く安定性もあり、製糖工場、運送業などの雇用効果や経済効果が大きく、これが基幹作物と言われるゆえんです。
 宮古のサトウキビの栽培面積は、全耕地面積の約七割を占めます。安定性があり安心して作れる作物ですが、その一方、キビへの偏りが土地生産性を下げていることも否めません。宮古の土地生産性は、県平均の半分程度です。今後、生産性を上げるにはサトウキビとどのような輪作体系を築いていくか、これが一つのポイントになります。以前の輪作型農業を現代的に見直し、肉用牛とサトウキビ、サトウキビ農家と葉タバコ農家の土地利用システムの確立など、地域内複合経営を推進する必要があります。
 ◇サトウキビとカボチャ輪作を
 県は今年二月に宮古島市で生産されるカボチャ、トウガン、ゴーヤーのブランド化を支援するため、宮古島市を同三品目の拠点産地に認定しました。三品目のうち、カボチャはキビとの輪作に適します。キビ収穫後地の利用が可能な露地作物で、本土の端境期の四月いっぱいまでの出荷は高値取り引きされています。キビ収穫後地の植え付け期は一月二十日が限度になるが、カボチャ栽培希望者のキビを優先的に収穫することで、より広いカボチャ畑が確保され、ブランド化を後押しできます。
 ◇災害に強い農業を
 宮古島は「台風銀座」「干ばつの島」と呼ばれてきました。二〇〇三年九月に襲来した台風号は、農林水産業の被害額が五十五億円と未曾有の被害をもたらしました。大きな被害は復興が厳しく、農家の蓄えも著しく減ります。所得安定のためには、自然災害に強い農業を目指さなければなりません。父の畑では、三年前に植えたオオギバショウが大きく育ち北風には対応できています。防風林の造成は今後、農業者は当然として郡民的な運動の広がりが望まれます。干ばつ被害は、地下ダムの水利用によってかなり緩和されました。豊富な水は干ばつ対策ばかりでなく、収益性の高い農業を推進する力にもなります。水は農業の基本です。大事に使いましょう。
 ◇地域農業戦略会議(仮称)を結成へ
 宮古の農業振興に向けては宮古地域農業戦略会議(仮称)を立ち上げて、全体的に取り組んでいきます。会議のメンバーには宮古島市、宮古農政・農業改良普及センター、農業研究センター宮古島支所、JA、生産組織などを網羅します。メンバーが一致団結し、各課題に向き合うことで成果が期待されます。最初に話しましたが、ここに宮古本来の気質が発揮されることを期待します。

 
1948(昭和23)年10月1日、平良字西仲宗根(添道)に生まれる。70年県庁入り。八重山農業改良普及センター次長、県糖業振興協会事務局長、宮古農業改良普及センター所長、農林水産部営農推進課長などを経て、2006年から宮古支庁農林水産