子ども郵便局閉局 鏡原小/郵政民営化で廃止 

金銭教育の窓口として定着
“継続は力”の育成にも

  来年十月の郵政民営化に伴い、郵便局が小学校で実施している「子ども郵便局」が廃止される。十六日には、開局二十二年の鏡原小学校(砂川和子校長)に日本郵政公社沖縄支社から感謝状が贈られた。(砂川智江)

                              6年間「子ども郵便局」を利用した(前列左から)福里眞佐希君、宮国泰樹君、砂川富輝君、下地隆裕君、(後列左から)宮川啓君、下地巧人君、下地菜奈さん、巣立くららさん、久貝麻莉子さん=16日、鏡原小学校
6年間「子ども郵便局」を利用した(前列左から)福里眞佐希君、宮国泰樹君、砂川富輝君、下地隆裕君、(後列左から)宮川啓君、下地巧人君、下地菜奈さん、巣立くららさん、久貝麻莉子さん=16日、鏡原小学校

 

砂川校長(右)に感謝状が手渡された
砂川校長(右)に感謝状が手渡された

   鏡原小学校の「子ども郵便局」は、一九八五年十一月一日に開局。当時の在校生は、同月十五日に記念すべき初の貯金を行った。以来、学期に一度、子どもたちが貯金袋にお金を入れて登校し、本物の郵便局員の支援を受けて児童局員が貯金業務を担当してきた。
 同局を利用する児童は、それぞれ自分名義の「子ども貯金通帳」を取得。貯金額は各自の貯金袋に毎回記され、学校単位の合計金額が親局となる郵便局の「親通帳」に記帳される仕組みだ。子どもたちの貯金は卒業時に払い戻されてきたが、今年は閉局のためすべての利用児童に払い戻されることになる。同校では、福里眞佐希君ら九人の六年生が小学校生活を通じて貯蓄に励んできた。福里君は「貯金を楽しみにしている後輩もいると思うので、なくなってしまうのは寂しい。これからも貯金の大切さを忘れず、お金を大事に使いたい」と話した。

開局時の初代日誌
開局時の初代日誌

 「子ども郵便局は」、日本郵政公社が、児童の金銭教育を支援しようと全国の小学校で取り組んだ事業。県内では本土復帰と同時に導入され、特に金融機関の少ない辺地や離島の子どもたちと父母に喜ばれた。
 しかし、児童数の減少や校内での現金取り扱いの見直しなどで徐々に廃止や休止する学校が増え、宮古では現在、同校と宮島小の二校しか開局していない。
 砂川校長は「郵便局と学校、家庭がスムーズに連携していたからこんなに長く続けることができた。貯蓄を通して子どもたちは、適切な金銭感覚とコツコツ継続する力を身に付けることができたと思う。この経験を生かし、将来はしっかり経済自立した大人になってほしい」と期待し、歴代の校長や担当職員、趣旨を理解して貯蓄をさせてきた父母に感謝した。
 

貯金で「過程の大切さ」学ぶ

亀島 誠志 課長

宮古郵便局貯金保険課 亀島 誠志 課長

 「『子ども郵便局』がなくなるのは、個人的にはとても残念なんですが」と複雑な表情をのぞかせる。
 物質的に豊かで、少子化が進む昨今、子どもたちの間でも簡単に欲しい物が手に入る風潮がある。「そんな時代だからこそ、目的の物を買うためにこつこつ貯金するという行為が大切な意味を持つのではないでしょうか」と投げ掛ける。お金をためている間に、我慢強さや優先順位、自立心、立ち止まって考え直すことなど多くを学ぶことができると「過程の大切さ」を強調する。
 「『子ども郵便局』は、子ども自身が貯金の仕組みを理解し、お金の大切さを考えることのできるシステム」と胸を張る。いくつかの学校の「子ども郵便局」業務を通して、「貯金して自転車を買った」「修学旅行の資金としてためていた」などの声を聞き、温かい気持ちになったという。
 「お金に関する教育やしつけは子どもたちの将来に必ず役立つ。『子ども郵便局』は閉局するが、家庭や学校でそれぞれの金銭教育がなされることを期待する」と述べた。
 


貯金増えるの楽しい
お金大事に使いたい

 

 小学校生活の六年間、「子ども郵便局」を利用してきた九人に、同郵便局へ寄せる思いやお金への感覚を聞いた。
 福里眞佐希君 一年生のころから、お母さんが学校に貯金を持たせてくれていた。「子ども郵便局」がなくなるのは寂しい。六年間ためたお金なので大事に使いたい。
 宮国泰樹君 貯金を続けてきて良かった。野球が大好きなので高校生になったら野球部に入り「子ども郵便局」の貯金でグローブを買うと決めている。
 砂川富輝君 特に目的があって貯金したわけではないが、続けて良かったと思う。これからも継続して貯金し、将来はお金にしっかりした大人になりたい。
 下地隆裕君 何に使うかは決めていないが、六年間、親が貯金させてくれたお金なので大事にしたい。お金は生活を支えるものだから、大切に使いたい。
 宮川啓君 いつのまにかたまっていたという感覚だが、貯金していて良かった。将来はプロ野球の選手になって活躍し、貧しい人を助ける活動をしたい。
 下地巧人君 お母さんに言われて「子ども郵便局」で貯金してきた。この制度がなくなり、後輩たちが学校で貯金できなくなるのが残念だ。
 下地菜奈さん 貯金の額が増えていくのを見るのがとても楽しかった。中学進級の準備と、春に予定している旅行の費用に使いたい。
 巣立くららさん 貯金があるとうれしい。小学校時代にお金をためることができて良かったと思う。卒業しても使わずに、まだまだ貯金を続けたい。
 久貝麻莉子さん 卒業まで貯金させてくれたお母さんに感謝している。中学校の準備資金に充てたい。お金は大事なものなので、使い方には気を付けたいと思う。

 



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