宮古島 JETプログラム 
 


子どもたちのやる気を後押し(ALT=外国語指導助手)
地域の国際文化交流に(CIR=国際交流員)

 

 「宮古の子どもたちは、素直で真面目、とても教え甲斐があります」と一様に口を揃える。現在、市の公立学校に配置されるALT(外国語指導助手)は九人、小・中学校で英語・中国語学習をサポートする。これまで各市町村に在籍していたが、合併してからは平良庁舎内にある学校教育課に籍を置く。一方、CIR(国際交流員)として活動するのは、上野庁舎に一人、観光商工課に所属する。アメリカ合衆国やイギリス、中国、ニュージーランド、オーストラリア、ドイツと、国籍も様々だが、教師としての立場もさることながら、地域の人たちと馴染み、島の生活文化を取り入れようと必至だ。五年近くいる者もおり、方言を堪能に話し、三線教室に通ったりトライアスロン大会に出場するなど島での暮らしを満喫している。また、それぞれの国の言語教室を開設して地域とのコミュニケーションも図る。 (佐渡山政子)
 


マイ・ユリアーネ
 

 @28歳 Aドイツ・ベルリン B六ヶ月余 C上野でドイツとの文化交流に関わる D日本の政治・文化の勉強、宮古の海を眺めること。〈コメント〉2001年から一年間、京都大学に留学した。社会人として日本で勤めるのは宮古が初めて。海が大好き。気候が暖かくてとても住みよい。昨年八月に来てなりやまあやぐ大会もハーリー大会も経験した。今年は夏にある「ダンケ・フェスタ」でドイツの踊りや子どもの遊びを紹介したい。私ごとですが、今月結婚します。


マイケル・ギトマンズ
 

 @31歳 Aニュージーランド・オークランド B六ヶ月余 C北・池間・狩俣・伊良部・佐良浜中学校 D日本の芸術や歴史に興味がある。写真。〈コメント〉2宮古島はきれいなところがいっぱいあるから、写真に収めようと思って最近デジカメを買った。島のいいところを撮ろうと、あちこちでうろうろしているはずだから、会ったら「マイク」って声かけてね。


ジェフリー・カミングス
 

 @23歳 Aアメリカ合衆国・オレゴン B六ヶ月余 C平良・池間・狩俣・伊良部・佐良浜中学校 Dスキューバーダイビング、自転車、生徒とのドッチボール。〈コメント〉2日本が好きで、以前にも一年間東京の大学に留学したことがあり、日本で働きたいと思っていた。最近、ダイビングのライセンスも取り、ますます宮古が好きになった。これからも宮古の子どもたちと仲良くなって、いい仕事をしたいと思う。


シァ・ジュンタオ
 

 @25歳 A中国・南京 B十ヶ月余 C下地・福嶺中学校 D日本語の勉強。水泳 〈コメント〉2宮古に来ていろいろな経験ができた。きれいな青空と海が大好き。親切な人たちとの付き合いも楽しい。毎週水曜日には平良庁舎の四階で中国語教室を開いている。関心のある方はぜひ参加して下さい。


ジョナサン・トーマス・山内
 

 @27歳 Aアメリカ合衆国・シアトル B六ヶ月余 C北・南・福嶺・狩俣小学校 D旅行、日本語の勉強、トライアスロン、読書、ダイビング。〈コメント〉半年住んでみてとても暖かくて快適。二年間を予定しているがもっと延びるかもしれない。日本語と宮古の方言を習うつもり。練習して2008年にはトライアスロン大会に出場するつもり。


アイラ・マクレー
 

 @25歳 Aイギリス・スコットランド B六カ月余 C東・上野・城辺・西辺・宮島小学校 Dマラソン、ダイビング、空手、音楽、外国旅行。〈コメント〉とても住みやすくて満足している。宮古方言や、三線も勉強して民謡を弾きこなしたい。去年の「なりやまあやぐ大会」にも出た。


ニコラス・ファブリズィオ
 

 @30歳 Aアメリカ合衆国・フロリダ B五年目 C平一・下地・砂川・西城・宮原小学校 Dトライアスロン(過去二回出場)、ダイビング、ビーチバレー、宮古方言。「ばがー宮古口のーしーがらやー」ととぼけてみせる。クームヤ(ごきぶり)ちゃんぷるーが好きでガジャン(蚊)にさされるのが嫌いだそうだ。〈コメント〉2宮古島にいる間、子どもたちと英語の授業で楽しい環境をつくっていきたい。


ジャニン・ケリー
 

 @27歳 Aオーストラリア・メルボルン B一年七カ月余 C下地・来間・城辺・砂川・福嶺・西城中学校 D日本語の勉強、宮古の方言と民謡 〈コメント〉2宮古の文化にとても興味がある。今も三線と方言を勉強している。三線は楽しく昨年の「なりやまあやぐ大会」にもチャレンジした。昨年四月に結婚、みんなに祝福された。


ジャスティン・オオタニ

 @24歳 Aアメリカ合衆国・オレゴン B二年半 C福嶺・西城・城辺・砂川・下地中学校 Dトライアスロン、宮古民謡 〈コメント〉たくさんのいい人との出会いがあった。トライアスロンにも一回出場し、三線も二年前から習っている。何よりきれいな海が大好き。これからも、もっともっと自然に親しみ、人たちとの出会いを大切にしていきたい。

 JETプログラムは、地方公共団体などが外国青年を招致する事業で、外国語教育の充実を図り、地域レベルでの国際交流を推進することが目的。こうして、諸外国との相互理解を増しながら、国際化の促進を期待する。契約期間は一年間となっているが、更新も可能で、ほとんどが二年、三年とその契約期間を延ばす。そのわけは「島が温暖で住みやすい」からだそうだ。
 彼らを紹介する(@年齢A出身地B在住年月C在籍校D趣味の順)


ニック先生の授業は楽しい
砂川小学校の5年生

机やイスを取り除いた教室で伸び伸びと英語の授業を楽しむ生徒たち(中央がニック先生)
机やイスを取り除いた教室で伸び伸びと英語の授業を楽しむ生徒たち(中央がニック先生)

 ここは砂川小学校(平良隆校長)の五年生(担任・砂川誠先生、二十五人)の教室。ニコラス・ファブリズィオ先生(愛称・ニック先生)の英語の授業が始まっている。テーブルと椅子は取っ払って、床に座る子どもたち。リアクションの大きいニック先生の動きに子どもたちの笑いが絶えない。この日はお天気の勉強。
 サニー(晴れ)、レイニー(雨)、クラウディー(曇り)、ウインディー(風)、スノーウィー(雪)、ホット(暑い)、コールド(寒い)の絵入りカードでじゃんけんゲーム。遊びの中で英語を学ぶ。子どもたちは、週一回のニック先生のこの授業が楽しみだという。遊んでもらえるお兄さんという感覚だ。この日の五校時の教室は笑い声が絶えなかった。
 ニック先生は、宮古テレビでもお馴染みの、方言のうまい外人さん。三線を習ったり、トライアスロンに出場するなど、宮古での生活を満喫している。「暖かくて住みやすい。気が付いたら五年近くなっていた。来年帰る予定だが、宮古の方言をたくさん覚えて行きたい」と話す。


お国の生活習慣紹介
シァさんの中国語教室

毎週水曜日夕、平良庁舎4階で開かれている
毎週水曜日夕、平良庁舎4階で開かれている

 毎週水曜日の夜に平良庁舎四階で中国語教室を開くのは夏 俊涛(シァ・ジュンタオ)さん。市役所職員や一般市民が参加して、中国の言葉や文化を取得しようと懸命だ。この日の教室は旧正四日目にあたり、シァさんは中国の旧正月の様子をパソコン画像で紹介した。旧正月はトゥンジーといい、大晦日はトゥーシーといって一年に一度、家族が全員揃う日だそうだ。方々から帰って来るので都市の交通手段が麻痺してしまうという。日本の盆・暮れの里帰り風景に似ている。
 大晦日の晩は、ユエンパウ(ウチカビのようなもの)を焼いて先祖に供える。それから家族みんなでご馳走を囲み、正月番組のテレビを見るのが普通の家庭。日本の「紅白歌合戦」のように。ただ、中国は歌だけに止まらず、五十六の民族で演じる「おはこ」が次々と登場するため、歌、寸劇、京劇とバラエティーに富む。衣装も豪華絢爛、日本の比ではない。シァさんは、正月のご馳走も紹介するなど自国の食文化にも触れた。
 正月料理は、春巻き、テビチ、三枚肉、蒸し餃子、パージュレ(豚の顔料理)など、沖縄料理と重なるものが多い。トゥーイー(一日)は年上の人を拝み、お年玉をもらう、トゥーワー(二日)に親戚廻り、トゥーパー(八日)まで正月祝いをするなど、だんだん日本が無くしてしまった懐かしい文化が息づいていることが、映像を通して伝えられた。
 参加した女性は「アジアの同じ文化圏だという親しみもあるが、やはり違うところや残っている部分も多々ある。言葉を知ることでお隣の国の生活習慣を少しでも理解できたら」と話す。


歴代のドイツ語教室
引き継ぐユリアーネさん

毎週火曜日の夕、上野庁舎1階和室で開かれている
毎週火曜日の夕、上野庁舎1階和室で開かれている

 毎週火曜日の夜、上野庁舎の一階和室でドイツ語教室を開くのはマイ・ユリアーネさん。これまで、ドイツ文化村の関係で、国際交流員を受け入れてきた上野村、ユリアーネさんで七人目となる。これまでにも、言葉に限らず、ドイツの暮らしや食生活を村民に伝えてきた。
 教室は、十二人が登録しているが毎回皆出席というわけではない。
 昨年九月から始まった「ユリアーネ教室」の参加者は、明朗で人懐っこい指導者に満足している様子。アー(A)、ベー(B)、ツェー(C)、エー(E)、エフ(F)、ゲー(G)と、アルファベットの読み方が多少異なり、基本的な表現も違うことから、参加者は独日辞典を片手に発音の訓練にも余念がなかった。

 



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