フラ仲間の輪、広がる

積極的な生き方求める女性たち
 


 フラといえば、一般的にハワイの観光地で華やかに踊られるあのフラダンスをイメージしがち。ところが、文字や言葉を必要としなかった太古よりフラはあり、基本的に神にささげる信仰表現から始まったといわれる。太平洋に浮かぶハワイ列島はマグマの噴出によって形成された島々。島ごとにフラの伝統があり衣装やレイもおのずと違う。情熱的な南国の女性たちは、わき出る感情を体すべてで表現することをフラと呼び、その生き方にも表れる。日本には一九八〇年代に上陸し静かなブームを呼んできたが、近年、比較的受動的だった日本人女性の間でフラが人気を呼ぶのは、アクティブな生き方を望む女性が増えた証しだろうか。宮古のフラ事情を探ってみた。(佐渡山政子)
 




 24日にマティダ市民劇場で開催される「芸能祭」で練習の成果が披露される=アイラナ フラ教室

 

 言葉や文字のなかったころから感情表現としてあったフラ。その手の動きにはすべて意味がある。大自然の一つ一つを表現することで、大地とつながり、神とつながった。手の動きを理解することが、フラを早く上達するための近道でもあるといわれる。
◇花(プア)◇愛(アロハ)◇風(マカニ)◇太陽・月(ラー・マヒナ)◇波(ナル)◇雨(ウア)◇大地(アイナ)◇あなた(オエ)◇美しい(ナニ)◇天国(ラニ)
〈基本ステップ〉
 カホロ(基本。二歩横に移動する)、カオ(ひざを柔らかく動かす)、カラカウア(前、後のステップ)、レレ(かかとが上がっている方の腰をあげる)、レレウエヘ(レレで移動してウエヘの動き)、ウエヘ(ぱっと両かかとをあげる)、クアカ(180度回り込むようなステップ)、アミ(腰だけの動き)、ヘラ(左右の足を交互に前へ)、キーバイバイ(横−前−戻す)

梅村展子さん

花(プア)

林 絵里さん

風(マカニ)



大地(アイナ)



雨(ウア)



太陽・月(ラー・マヒナ)

かわいい(ミリミリ)



あなた(オエ)



愛(アロハ)

 「カヒコ」と「アウアナ」
 もともと、信仰表現から始まったフラだが、ハワイが戦後アメリカに占領されてからは、観光用に客の目を楽しませるためのダンスとして定着してきた。このショー的要素の強いフラが現在一般的に踊られるニューウエーブの「アウアナ」(新しいフラ)。伝統的なフラを「カヒコ」(古式フラ)と呼んでいる。
 カヒコは、イプ(ヒョウタンで作った打楽器)やパフ(ココナツの木をくりぬいて作ったドラム)などの打楽器だけが使用され、それらを打ち鳴らしながら詩を詠唱する歌い手がおり、それに合わせて踊ることをメレオリという。基本的にカヒコは神や王にささげる意味があるので化粧も質素でアクセサリーも付けず、衣装も比較的シンプルだが、荘厳で勇壮な印象を与える。
 また、アウアナは、ギターやウクレレなどの楽器を使用、踊り手も色とりどりの衣装で表情豊かに踊り、見る者を楽しませてくれる。最近では、フラグッズの店も増え、南国の色彩豊かな花を集めて作ったレイや、ヘアクリップ、デイリーアクセサリー、Tシャツ、ハワイアンドールまである。トールペイントもハワイアンな生活から生まれた。

 〈アイラナ フラ教室〉
 市内下里通りに面したこの教室を主宰するのは、中松陽子さん。フラと出会ったのは十年前、ライオンズクラブのサークルだった。「学生のころから創作ダンスをしていたので、すぐに入れた。ゆったりした曲に感情豊かに踊るフラが性に合っているようだ」と話し、気さくな性格は生徒たちに人気がある。
 教室は今年で四年になり現在二十数人の生徒が通う。二十代から六十代まで世代もさまざまだが、けいこに入ると、全員にこやかに身体を動かし年の差を感じさせないのは、やはりフラの魅力だろうか。さまざまな大会にも参加。今年も宮古島市の「芸能祭」出演が決まっており、練習に余念がない。年明けて一月七日にもチャリティー演芸会に出演する。今や地元の芸能界で市民権を得たようだ。さらに、来年六月には沖縄コンベンションセンターで、県内では初めてのハワイアンイベント「沖縄ハワイアンサミット」があり、その出場も決まっている。二児の母親で上野から通う西里操子さんは「始めて一年しかたっていないが、今ではもうヌチグスイのようなものです」と目を輝かせる。十年前に出会って、いま真剣に通っているという下地静子さんは「最初、健康体操のつもりでしたが、今では最高の気晴らしです」と笑む。
 アイラナは「島」の意。

 〈アヌエヌエ オ ハウ  オリ サークル〉
 梅村展子さんを中心とするこのサークルは、今年五月に始まったばかり。二十代の女性たちを中心に現在十数人のメンバー。サークルは週二回で毎週水曜日は上野体育館。日曜日は野外で行ってきたが、冬は寒いので個人の屋内を借りているとか。梅村さんは「とてもチームの和がいいのでまとまりやすい」と話し、日は浅いが既に二回のステージを踏んでいる。
 梅村さんがフラの世界に入ったきっかけは、現地のハワイで見た感動が忘れられなかったから。東京を中心に教室を開設する柴田知佳先生の沖縄教室でレッスンを積み、今年三月から宮古に住むようになってからフラ仲間ができた。「私、いま妊娠六カ月なんです。フラをしているととても体調が良く、近くマタニティーフラを始めようかと思っているんです」と真顔。また、「発表の場が少ないので、マウイ島は平良の姉妹都市だというし、交流できたらいいな」と夢を膨らませる。
 アヌエヌエ オ ハウオリとは「虹の喜び」との意。



週2回のレッスンに汗を流す「アヌエヌエ オ ハウオリ」サークルのメンバー



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