「子どもたちの顔を見るだけで元気が出る」と話し、あふれる愛情を注ぐ上地園長=20日、ちゅうりっぷ保育園 |
◇組織化の背景
認可外保育園は、週末保育や保育時間の延長など各園の特徴と父母の労働条件、家庭環境に合わせて一定の枠内で融通が利き、アットホームな雰囲気の園が多いため「子育ての力強い味方」として利用している親たちも多い。
しかし、公立や法人の保育施設とは違い自治体の助成は手薄いのが実情。宮古地区の認可外保育園に対する補助金は、園児の在籍数に応じて、教材費が一人分で年間千五百円、健康診断費が二千五百円、保険料が百三十二円、おやつ代が月五百円といった程度。保育士らの研修費や出張旅費などは当然企業経費となる。そうは言っても、保育士らの園児への愛情、親たちへの支援と保育に対する思いは熱い。特に、近年は価値観やライフスタイルの多様化で子育てに関する相談も実にさまざま。ある保育士は「子どもの夜泣きから夫婦関係、子どもが全身をぶつけて何らかの思いを表現しているけれど、何を主張しているのか把握できず対処法が分からないというケースもある」と話す。相談対応や在宅育児の家庭支援にも力を入れたいと保育士らの熱意が高まる中で、社会的信頼度の向上や経済基盤の強化、関係機関との連携を円滑にする上でも組織整備が急務とし、NPO法人格の取得に至った。
◇組織活動の役割
認可外保育園の保育士たちは、これまでもさまざまな場面で手を携えてきた。今回立ち上げた「NPO法人みやこ保育向上連絡協議会」の前身となる「平良市認可外保育園向上連絡協議会」は、一九九七年の発足以来、宮古まつりや天女の水まつり、トライアスロン大会、防犯パレードなどさまざまな地域イベントで積極的に活動し、行事参加を通して地域活性化の一翼を担ってきた経緯もある。
保育園行事を通して成長する子どもたち。おゆうぎ会の練習、頑張るぞ!=20日、なかよし保育園・学童 |
今後は、高齢者との世代間交流や防犯マップづくりなど新組織当面のベースとなる活動を実施。また、社会福祉協議会など福祉団体や民生委員・児童委員ら地域人材、警察、消防などとのネットワーク強化に力を入れ、さまざまな場面で保育態勢の充実化を目指す方針だ。
◇保育活動のステップアップに
上地理事長は「保育士たちが目指すべき目標を共にしていても、それぞれが個別に小さな声を出していてはなかなか前進しない。今回のNPO設立は、これまでの経験を基に保育の質を高め幅を広げる大きなステップアップになると思う」と意欲を語る。
なかよし保育園の砂川美恵子園長も「一人ではできなかったことも、組織として保育士のプロが団結すれば話は違う」と喜ぶ。
具体化への手立てが分からずに、それぞれ小さく燃えていた保育活動拡充への思い。今後、集団による大きな力で弾みを付ける。 |