体験活動の目的は▽漁を通して地域(海)の豊かさを知る▽現在の自然を知り、大切にしていこうとする心をはぐくむ▽父母や地域の人たちとともに活動することで協調性を身に付ける▽伝統の漁法、歴史、由来などを知り先人の知恵を学ぶ−など。
漁師の古波蔵善徳さんによると、地引き網は来間でもよく行われた漁法で、昔は砂浜だった現在の漁港の場所で盛んに漁が行われていたという。
この漁体験は、数年前まで学校PTAの恒例行事だったが、網が破れたため開催が途絶えていた。PTAからの「ぜひ復活してほしい」という強い要望に、宮城正侑校長が「十年間は続けてもらうこと」を条件に網を寄付。開催が決定した。
午後一時になると、帽子にTシャツ、ビーチサンダル姿の子どもたちが漁港に集合した。みんな「何が捕れるかな」とわくわくした表情。活動には子どもたちのほか、父母、教員、地域住民らが参加した。
開会式で砂川会長は「残り少ない夏休みを思う存分楽しんで」とあいさつ。むやみに魚に触らないことなど諸注意を促した。
児童・生徒を代表して砂川愛美さんは「初めての漁体験。夏休みの一番の思い出にしたい。魚をたくさん捕りたい」と意気込みを語った。
網は満潮時に父母らによって漁港そばの砂浜に張られた。砂浜から半円を描くように網が設置されていた。
子どもたちは半円状に張られた網の右半分に並び、左側に向かって一斉に網を狭めた。途中、網に絡んだ魚を見つけると大喜び。「掛かったー」「やったー」などと歓声を上げていた。
地引き網に初挑戦した砂川進一君(小学校二年)は「漁はやっているうちにどんどん楽しくなった。いっぱい捕れてうれしい」と額の汗をぬぐった。
引き上げられた魚はボラやタマンなど約十種類計百六十四匹。大漁に子どもたちも、笑顔を見せていた。
漁の後の楽しみはもちろん試食会。子どもたちがウロコ取りまで行うと、お母さんらにバトンタッチ。漁港そばのあずまやで、空揚げや煮付けなどに調理された。新鮮な海の幸に子どもたちはおいしそうにほお張っていた。
こはぐらけいた君(幼稚園)は「楽しかった。お魚さんは大好き。おいしそうな魚がたくさん捕れた。また来年も魚を捕りたい」と白い歯をこぼした。
「思った以上に喜んでもらえた。来年も開催したい」と砂川会長。学校、PTA、地域が一体となって復活した夏の恒例行事は、大盛況のうちに幕を閉じた。
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