地域力で児童の安全を 

子供を守るパトロール隊

 地域の温もりで児童らを事件・事故から守る「子供を守るパトロール隊」(宮平エミ隊長)がこのほど結成した。活動区域は平良地区南学区。腰原女性会のメンバーらが持ち前の積極性と軽快なフットワークを発揮して役割を引き受け、交通事故や子供を狙った犯罪を防止しようと下校中の児童たちを見守っている。女性のパトロール隊は宮古で初めて。お母さんやおばあさんたちの豊かな愛情が、安心で安全な地域づくりの原動力になっている。(砂川智江記者)



「子供を守るパトロール隊」の(前列左から)池間美代さん、奥平スミ子さん、幸地恵子さん、砂川政笑さん、宮平エミさん(後列左から)伊志嶺幸子さん、与那覇美代子さん、宮平美代さん、下地のり子さん、宮平ハル子さん、砂川三枝さん、田名ヨシさん、幸地ハツ子さん=南小

腰原女性会のメンバーらで結成

 「子供を守るパトロール隊」は、四十六人で組織する腰原女性会のウオーキングサークルのメンバーを中心に結成した。同女性会は、パッチワークやグラウンドゴルフ、カラオケなど愛好者が集うサークル活動が活発で、メンバー同士、趣味を通して日ごろからコミュニケーションを深め、団結力をはぐくんできたことがパトロール隊誕生への土台となった。宮古島警察署からの依頼を二つ返事で引き受け、とんとん拍子に班をつくり、活動日を決めて、いざ通学路へといった調子だ。
 現在のメンバーは二十人。「守ろうよ わたしの好きな 街だから」をスローガンに活動している。時間に比較的余裕がある人や余裕をつくることができる人、小学生の孫を持つ人が多いこともあって、子供たちの健やかな成長を願う気持ちは一層強い。その温かさが活動の基盤となっているが、活動日は一人につき月に一日程度で、無理なく継続できるように設定されている。まだまだ始まったばかりだが、今後の活動を通してできるだけ多くの道路事情を把握し、大通りだけでなく、裏道や人けのない道など危険性が潜んでいそうな場所に目を配っていくという。
 パトロール隊結成について報道された後は、「ぜひ私も」と入隊を希望する女性たちが続々現れ、宮平隊長は「地域のために何らかの形で行動したいと思っている人が多いのでは」と声を弾ませる。「『おばさん、新聞に載っていたよね』と話し掛けてきてくれる子もいて、子供たちも自分たちに関係のある人や活動には関心があるんじゃないかな」とほおを緩める。
 一方で、南学区には他地域から転入して居を構える家庭が増えており、核家族や共働きが多数の中、地域のかかわりが薄くなりつつあるのも現状だ。宮平隊長は「幼いころは、近所のおじさん、おばさんたちがいろいろなことを教えてくれた。時代は変わっても、子供を愛する気持ちは変わらないと思う」と話した上で「今は、女性のパトロール隊として活動しているが、地域の男性陣の協力もお願いしていきたいし、児童館とまではいかなくても、放課後の子供たちが両親が帰宅するまでの間、安心して過ごせる場所がつくられることを願う。地域の大人として子供たちの安全のために力を注ぎたい」と、社会整備の推進にも期待を寄せる。
 交流やリフレッシュ、情報交換を楽しみながらはぐくんだ腰原女性会の団結の輪が、下校時の子供たちを守るという目的意識を通して、今後、地域全体の安全意識へと波及していくことが期待される。

 写真説明・地図上で通学路の危険個所をチェック

地域の目を変える活動/南小 長濱哲雄校長

 パトロール隊が結成されたことにより、参加希望者が増えたり父母の皆さんの感謝の気持ちが高まったりと、地域全体の雰囲気がより温かくなると思う。
 南学区は他地域の出身者が多く、行事などの際には子供たちを連れて出身地に帰る人も多い。生まれ育った地域を大人になっても大切にする心は大変素晴らしいと思う。だが、現在の日常生活を営んでいる場所にはそこで育っている子供たちがいるわけで、今以上に日常のコミュニティーの活性化、地域活動の充実にも関心を高めてくれるとありがたい。パトロール隊の活動は子供たちの育成に対する地域の目を変えると思う。

一人ひとりが安全意識を/西交番 下地一広所長

 危険から身を守るために子供たちにお願いしたいことは、暗くなる前に家に帰る、怪しい人に声を掛けられたらすぐに逃げるということです。「太陽の家」の場所を確認しておいたり、防犯ベルを持ち歩くことも有効だと思います。
 通学路付近で暮らす住民の皆さんには、普段から子供たちの動向を気に掛け、「車に気を付けて」「早く帰りましょう」などと注意を促してあげてください。一人ひとりが少しずつ安全への意識を高めることが地域全体の安全へとつながります。「子供を守るパトロール隊」に入りたいという人はぜひご一報くださいね。

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