正しい知識でペットを飼おう

宮古島動物保存会

 テーマは「人も動物も楽しく暮らす」―。犬の訓練士やペットの世話をする「ペットシッター」、ペットに関する知識などをアドバイスする「愛玩動物飼養管理士」といった有資格者四人が昨年十一月、「宮古島動物保安会」(狩俣章子代表)を結成した。街中にも町外れにも絶えない野良犬や野良猫も、原因をたどれば人間。「動物のことを正しく知り、飼うことが人間にも動物にも幸せ。そのことに気付いてもらえれば」と、理解を求める活動を始めた。(砂川拓也記者)



(前列左から)海宝千代さん、酒井陽子さん、この日訪れていた富岡真弥ちゃん、代表の狩俣章子さん、(奥)佐和田裕恵さん=平良の酒井さん宅

テーマは人も動物も楽しく暮らす

 宮古福祉保健所のまとめによると、同所による違法犬の捕獲頭数は二〇〇三年度に比べ〇四年度は減少したものの、その姿を見ない日はないと言っていいほど、野良犬や放し飼いの犬は多い。それによる家畜の被害なども毎年のように発生している。それに加え、飼い猫とみられる猫や野良猫も多く、去勢・避妊していない犬や猫が、新しい野良犬、野良猫を増やしているという現状がある。
 「動物に関して正しい知識を持ってもらい、正しく飼ってもらおう」。代表の狩俣さんをはじめ、犬好きということで知り合いだった四人が話し合い、とんとん拍子で同会を立ち上げた。
 代表の狩俣さんはジャパン・ケネル・クラブの公認訓練士。「飼えなくなったペットを『遠くに行って捨てればいい』という人がいるが、その犬や猫が繁殖して迷惑をかけ、結局は処分されることにもなる」と、ペットを飼う人の責任と意識改革を求める。
 会はボランティア団体で目下、会員を募集中。資格は特に必要はない。動物について正しい知識を身に付けてもらって、正しい飼い方を知り、少しでも会の活動に協力できる、という人なら誰でもOKだ。犬をモデルにしたポストカードや今後作成予定のステッカーの販売、寄付などで活動資金を造成しており、それに対する協力も求めている。
 活動としては、▽犬や猫の飼い方相談室・トレーニング教室の開催▽飼い方に関するチラシ・パンフレットの配布▽正しい飼い方を広めるためのゲーム大会―などを予定している。
 酒井陽子さんは愛玩動物飼養管理士。酒井さん宅の広い庭は愛犬家のちょっとした社交場にもなっている。「ペットを捨てるのは動物愛護法で罰金刑になる。捨て犬、捨て猫を軽々しくしないように、意識を変えてもらえれば」と話す。同じ資格を持つ海宝千代さんも「一人ひとりが少しずつ意識を持ってもらうことで捨て猫も捨て犬も減るはず。ペットは家族と同じです」と訴える。
 ペットシッター士の佐和田裕恵さんは「犬なら、餌をやるだけでは飼っていることにはならない。散歩もしないといけない。会には資格のある人がいるので、相談にも乗れる」と呼び掛けた。

 写真説明(上)・正しい飼い方をすることが、「人も動物も楽しく暮らす」原点。犬なら散歩も大事な要素だ
 写真説明(下)・活動資金をつくろうと、自作のポストカードを販売中
 
動物を知ればもっと好きに/代表の狩俣章子さ
 「ペットを飼う人だけでなく、みんなの意識が変わり、正しい知識で正しく飼うことが大事だと気付いてもらう活動」と繰り返し強調する代表の狩俣章子さん。犬の訓練士としても活躍している。
 宮古でよく見掛ける犬や猫の放し飼いについて、「例えば、犬の知能は三歳児ぐらいだといわれる。もし人間なら、何も知らない子供を一人で歩かせることがありますか?」と疑問を投げ掛ける。
 野生化した犬や猫を目にすることもよくある中で、観光客が飛び出した犬をよけようとして事故に遭いそうになったという話も少なくないという。「犬や猫をひいてしまったら、楽しい旅行も台無し。観光にもいい影響はない」と危機感を示す。
 ペットを飼っていても、飼い方や特性など、それぞれ知らないことは多いと指摘。「動物のことを知れば、動物のことがもっともっと好きになる。そのことに気付くだけで、ペットや動物に関連するいろいろな問題の解決につながると思う」と優しく語る。

 写真説明・「願うのはみんなの意識が変わることだけ」と話す狩俣さん

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