宮古島を薬草の拠点に 

(有)
沖縄長生薬草本社

 経営理念は「薬草を源に、人類の健康のために技術と真心で奉仕する」―。城辺町下里添出身の下地清吉さん(60)が経営する沖縄長生薬草本社(佐敷町)は、薬草事業のパイオニアとして人びとの健康や元気な地域づくりに貢献してきた。祖母の知恵から生まれた同社の薬草製品は今、世界に広がっている。
(那覇支局・川満勇人記者)



沖縄長生薬草本社の役員と社員のみなさん
 

オバァの知恵 沖縄から世界へ

 幼いころ、近くに病院がなかったため、けがや病気のときはおばぁが野山の野草(薬草)を使って治してくれた。身近にある薬草の不思議な力に興味を持ち二十代から趣味で薬草の栽培を始めた。これがきっかけとなり「身体の不調で悩んでいる人たちに、薬草を知ってもらいたい」と思い、さらなる研究・開発を続けてきた。
 創業当時は薬でもなく野菜でもない薬草はほとんど認知されていなかったので、全く売れなかった。収入が無く生活は大変だったが、それでもケーブル工事のアルバイトをしながら県内各地の薬草を調べ歩いた。あちこちの現場に行った際に、時間を見つけては野山へ入り薬草を収集した。現在は県内をはじめ世界各国の薬草約千種類以上を集め約三百種類を栽培する。
 八〇年に、ウコン、クミスクチン、グワバなど十三種をブレンドした「健康一番茶」がヒット商品となり、ブレンド茶の先駆的役割を果たした。ほかにも主力商品となる三十八種類をブレンドした「福寿来A」など、これまで千種類以上の薬草から八十五種類の商品を開発し販売する。
 自社農場一万八千坪のほかに、本島北部や宮古、石垣などに約四万坪、四十三戸の農家と契約栽培を実施している。
 現在宮古では、ウコンとキダチアロエを約一万坪の農地に栽培、また狩俣地区を中心に農家と契約し、約八千坪の畑でウコンの試験栽培を行う計画もある。
 将来は、宮古島全域を薬草の拠点にし、百数十dの生産量が確保できるようになれば、宮古に加工工場も造りたい考えだ。そのほか、沖縄の健康食を味わってもらいながら、長期滞在するような観光拠点も目指していく。
 二〇〇一年から、十七種類の薬草をブレンドした商品「健命一番茶」を、アメリカ全土で五十店舗のレストランをチェーン展開する「ベニハナ社」(本社フロリダ州)に本格的に出荷を始めた。健康志向の強いアメリカへの出荷ということで、今後、輸出の拡大が期待される。
 また〇四年には、日本から中国へ輸出するための許可も中国政府から取得した。今年は十月にドイツで開催される国際見本市に出展し、これをきっかけにヨーロッパへの進出も目指す。
 下地社長は「これからが本当のスタート。『長寿県沖縄から世界へ―』を合言葉に、世界へ大きく羽ばたきたい」と意気込んだ。
 同社は、一九七四年に創業、九一年に法人化し原料薬草の栽培から加工(粉末、顆粒、錠剤、ティーパック、エキスドリンク)、商品製造、卸、小売りまで一貫した生産販売を行う。従業員は九十人(パート含む)。品質保証のISO9001と安全な製品を製造するための危機管理システムHACCPの認証を取得して安全な商品の製造加工、販売に取り組んでいる。


 写真説明(上)・代表取締役・下地 清吉さん
 写真説明(下)・会社の全景

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