楽しく踊って達成感を! 

北中エイサー同好会

  昨年の運動会でエイサーの楽しさに目覚め、1日限りの発表では飽き足らずに「同好会」を結成した北中学校の仲間たち。「楽しみたい」の一心で週末に集まり、練習を続けている。同好会は、予算が確保できなかったり、指導者主導ではない分、会員1人ひとりの主体性とエイサーを愛する気持ちが活動継続の柱になる。大好きなエイサーに青春の汗を飛び散らせている中学生たちを紹介する。
(砂川智江記者)



(前列左から)友利美咲さん、山里佳那江さん、狩俣千里さん、(後列左から)
新垣早紀さん、与儀絵莉奈さん、池田志織さん、砂川茉衣子さん=北中武道館

生徒主導で結成、主体性向上に期待

 エイサーの音楽が流れ出した途端、つい先程まで他愛のない会話に笑い転げていた女の子たちの顔が一変する。表情が引き締まり、真剣勝負に挑む顔だ。
 平良市立北中学校のエイサー同好会(山里佳那江会長)は、エイサー好きの三年女子七人で構成。平日はバレーボールやテニス、文芸などそれぞれの部活動に打ち込み、週末に集合してエイサーの練習に励んでいる。
 結成のきっかけは、昨年(二年生当時)の運動会だった。学年演技でエイサーを踊り、その楽しさに目覚めた。その後、宮古地区中学生ダンスフェスティバルに出場してエイサーを披露。終わった後は、その楽しさにすっかりはまっていた。与儀絵莉奈さんと狩俣千里さんが校長先生に直談判し、すぐに愛好会を立ち上げ。運動会でエイサーを指導した伊波忠彦先生に顧問を頼み込み、活動の形態を作り上げた。
 念願かなって楽しく汗を流すメンバーだが、二年生の終わりに解散の危機が訪れる。ハリのない練習姿勢に業を煮やした伊波顧問が「やる気がないなら顧問を降りる。遊びなら家でどうぞ」と、今後の活動の在り方に一考を促したのだ。生徒たちの意見は「やるなら一生懸命やりたい」と、「ただ楽しくやりたい」に二分された。「生徒が主体」の同好会だからこそ、活動スタイルも生徒たちに一任される。日ごろの活動の意義も、目標設定も、エイサーから得るものも、すべて生徒たちの手でつくるのだ。
 アンケート方式で各自の意見をまとめた結果、北中エイサー同好会のメンバーは成果を目指す真剣な道を選んだ。与儀さんは、エイサーの魅力を「うまく踊れたときの達成感」と話す。狩俣さんは「腕の上げ下げや正しい姿勢など細かい難しさが多いが、それだけにやりがいがある」と目を輝かせる。
 今年のトライアスロン大会では、バイクゴールの会場で、風の神太鼓のメンバーと一緒にエイサーを踊った。厳しい練習だったが「『風の神太鼓』の人たちは、何とも言えないオーラが出ていて、鳥肌が立つくらいカッコ良かった」と振り返る。
 「あんな風に踊りたい」―。ますますエイサーが好きになった。バレーやテニスの部活と違い、エイサー同好会には中体連も練習試合もない。具体的な目標も成果を披露する場も一から探さなくてはならないが、だからこその面白さがある。
 「まだ一度も納得したことはないんです」。卒業するまでに、自らの演技に納得できる域に達することが目標だ。
 会員は次の皆さん。(敬称略)
 ▽会長=山里佳那江▽副会長=狩俣千里、与儀絵莉奈▽会員=友利美咲、新垣早紀、池田志織、砂川茉衣子

写真説明(上)
・普段は笑いの尽きない会員たちも音楽が流れれば真剣そのもの
写真説明(下)
・練習では、ダイナミックな動きに近づけるよう意識している
先を見据える力培って/伊波忠彦顧問

 子供たちから「『同好会』を作りたい」と話があったとき、最も気になったことは生徒一人ひとりの「自主性」だった。今でも、同好会の性格上、あくまで生徒主体であることが一番大切で、意義深いことだと考えている。
 エイサー同好会の活動を通して、先々を見据えて行動する力を培ってほしい。目標を達成するために、今何をするべきか、何が必要か。未来と足元を客観的に見ることができる人になってくれればと願う。
 生徒主体である以上、顧問は存在感がないくらいがいい。もちろん、出来うる限りの技術的な指導や、子供たちの安全を守る上での役割があるが、あまり手厚くリードせず、子供たちとの距離を大事にしていきたい。せっかく子供たちが声を上げてつくった場。大いに楽しみ、大いに悩んで、力強く成長してほしい。

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