宮古民謡や琉舞で彩る人間模様 


歌舞劇団「きずな」

 初めて宮古の歴史を題材にしたミュージカル「貢布織女の歌」。人頭税制下における宮古島を舞台に、総勢100人の出演者が当時の苦しみや悲しみ、喜び、怒りをダイナミックに演じる。公演は、宮古島を愛する心を後世に引き継ぎ、平和で明るく、文化的で心豊かな島づくりに寄与することを目的に地元団体などが強力にバックアップし、壮大な物語をつくり上げる。公演を間近に控え、詰めのけいこを行う歌舞劇団「きずな」を紹介する。      
     (洲鎌恵仁記者)



貢布織女の歌を演ずる市民歌舞劇団「きずな」のメンバー
 

  ミュージカル
    「貢布織女(こうふおりめ)の歌」

 時は19世紀半ば。舞台は宮古島。人頭税制下により上布やアワの厳しい徴収で、苦しい生活にも明るく過ごそうとする住民たちにスポットが当てられている。その中で、宮古上布の織女、ミガと青年、カマを中心に物語は広がりを見せる。
 舞台では宮古民謡を基調に琉舞や空手、バレエ、三線、独唱、合唱などさまざまな要素で彩り、純粋でひたむきな精神や団結とバイタリティーあふれる人間模様を表現する。
 出演は地元演劇、音楽愛好者、芸能団体が主体となった市民歌劇団「きずな」。主役のミガ役に県立芸大研究生の宮城美幸さん、カマ役には市内楽器店に勤める当間篤さんが起用された。
 公演のきっかけは脚本・音楽を手掛ける花城武彦さん(元音楽教諭、大阪府在住)が、同窓会に出席するため50年ぶりに宮古に帰島したことだ。「家や道路は立派になったが昔のような活気はなく。古里が一転していた」と感じた花城さんは、宮古に恩返しができないかと一念発起し、宮古民謡「豆の花」を題材に「貢布織女の歌」を創作した。脚本は実行委員会と協議を重ね、7回書き換えられてようやく完成した。
 演出を担当するのは教員の宮国敏弘さん。校内での演劇で演出を経験したことはあるが、ミュージカルは初めて。「演じる方も、演出する方も手探りの状態。宮古から何を発信できるのか、短い準備期間の中で挑戦したい」と意気込む。
 歌と演劇はそれぞれ別々に練習を重ねてきたが5月に入ってからは合同練習を開始。23日から公演当日までは会場となるマティダ市民劇場で最終調整を行う。
 「貢布織女の歌」は出演者や実行委員会だけでなく、舞台には表れない多くの協力者の存在も大きい。縦糸と横糸が重なり合い、美しい模様と色合いを持った宮古上布のように、人と人がまさに「きずな」で結ばれた作品づくりが行われている。
 参加団体は次の通り。
▽平良市少年少女合唱団▽フロイデ合唱団女声部▽ブーゲンビリアコーラスグループ▽劇団びっくり箱▽野村流伝統音楽協会宮古支部▽久田流舞踊研究所▽長崎佐世バレエスタジオ▽嘉島空手道場グループ

 写真説明(上)・毎日熱のこもった練習を続けている出演者ら
 



主役のミガ役を演じる宮城さん。
美しい歌声で魅了する



再会を果たし抱き合うミガとカマ



子供たちに遊びのシーンを実演してみせる演出・宮国さん(前列右)

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