高齢者福祉の「北の拠点」に 

デイサービスセンター 「まごころ」

平良市狩俣地区にオープン

 平成17年2月6日、平良市狩俣に通所介護施設(デイサービスセンター)「まごころ」(島尻洋一管理者)がオープンした。専属のケアマーネージャーが常勤する居宅支援事業所ではなく、プラン作成は外注してデイサービスの部門のみを提供する単独施設としては宮古で初めての開所となる。老齢人口の多い池間、狩俣、西辺などのエリアを見据えた「北の拠点」として期待される役割が多い中、利用者はもちろん、家族や地域の子供たちと世代を超えた地域密着、地域交流型の楽しいデイサービス施設を目指す。開所早々、地域に活気の息吹を漂わせる「まごころ」を紹介する。   (砂川智江記者)

写真説明・地域における高齢者福祉の拠点として期待が高まる「まごころ」

世代間交流で地域活性化へ

 デイサービスセンター「まごころ」は、自然豊かでのんびりとした狩俣地区にある。オープンから1カ月半、ピンクとブルーの目に優しい外観が目印だ。敷地面積972平方メートル、建築面積365平方メートル、床面積340平方メートル、子供用の遊具や高齢者向けのゲートボール場を備える公園に隣接し、建物だけでなくスタッフの面々の明るい雰囲気が魅力だ。デイサービスの活動時間は午前9時30分から午後4時まで。活動時間の前後に利用者を送迎する。現在の職員数は2人と看護師と5人の介護師を含めた11人。1日の流れは、バイタルチェック、健康体操、昼食、レクリエーションや工作などが中心だが、利用者の意向や、その日のスタッフのリーダーの方針によって臨機応変に対応する。
 モットーは「高齢者福祉、地域交流の北の拠点に」。核家族化が進み、市街地に居を構える若い世帯が増える中で、狩俣などは必然的に高齢者世帯が多い。地域のお年寄りはもちろん、離れて暮らす家族や地域の学校に通う子供たちも巻き込んで、お年寄りを中心とした交流施設としての活動展開を目指している。
 管理者の島尻洋一さんは「宮古でも、田舎に行けば行くほど家に閉じ込もりがちなお年寄りは多い。医療や福祉の過疎地であるこの土地の高齢者に心も体も元気になってもらうために、『外出!』と気負わず『ちょっとそこまで』の気持ちで自然にお越しいただける雰囲気づくりに努めたい」と利用者の健康増進や心身のリフレッシュを願う。その一方で「老齢人口の高いこの地区は、お年寄りならではの知恵や技術の宝庫だと思う。本人は特に意識していなくても、若い世代から見れば素晴らしい技を持っている人がたくさんいると思うんです」と目を輝かせ、高齢者に対する畏敬の念を込めて話す。「そんな技を眠らせておくのはもったいない。私たちも学びたいし、子供たちにも伝えていただけたら」とリクエスト。高齢者を軸に、活気あふれる地域づくりを目指している。

・デイサービスとは 介護保険の認定を受けている高齢者が、通所認定を受けた施設で、健康チェックや食事、入浴、趣味の活動などを行う日帰りケアのこと。送迎サービスを行う施設が多く、交通手段の心配はほとんどない。
 利用者のメリットとしては、健康状態の把握によって心身機能の維持向上を図れる点や、一人暮らしの人は楽しい時間を過ごすことによる孤立感の軽減などがある。また、家族に対する介護負担の軽減にもつながる。

 写真説明・みんなが集うホールには楽しくてゆったりとした時間が流れる

  【 早春祭 〜 イベント開催で地域に活気 〜 】 


そばをすすりながら余興を楽しむお年寄りたち
 


地域のお年寄りたちが作る自家栽培の野菜を安値で販売

 高齢者の技術継承の場に 管理者の島尻洋一さん
 お年寄りって、何らかの達人が多いと思いませんか。ご本人にとっては大したことでなくても、あるいは一見、ありふれているように見えることでも、例えば「どこどこのおばぁが作るサーターアンダギーは絶品」とか、ちょっと他人とは違う技を持っている人が多いですよね。地域の昔の事情にも詳しいし、私たちが知らないことを体を通して知っているのがお年寄りの素晴らしさです。そんな高齢者パワーは、もっともっと大切にされなければなりません。
 私たちは、地域のお年寄りにデイサービスの活動を通して心身共に元気になってもらうとともに、高齢者ならではの技術や地域の特性を子供たちに継承していただき、両世代の相乗効果を図るお手伝いが出来ればと考えています。

 「公民館」的な施設に 相談員の下地利夫さん
 「介護保険の仕組みが分からない」「うちのおじぃ、おばぁの介護について話を聞いてもらいたい」―。利用者はもちろん、家族の皆さんからのさまざまな相談を受け付けています。家族がお年寄りと離れて生活しているケースが多く、日々多忙な中で時間の調整が難しいことなどもありますが、家族の関心は何より大切。ちょっと気になることや心に引っかかることでも、話をしてみることによって安心につながる場合もあります。家族を巻き込んだ、風通しの良いデイサービスセンターにしていきたいですね。その上で、地域の公民館的な役割を担う、子供から高齢者までみんなが気軽に集える場所になることを願っています。

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