みんなで守ろう みんなの命

 Rhマイナス血液の登録を 

ぼらんてぃあ・ん

 「みんなで守ろうみんなの命」―。宮古島徳洲会病院脳神経外科部長の竹井太さんと妻朋子さんを代表とする「ぼらんてぃあ・ん」のモットーだ。昨年暮れにはRh因子陰性血液(Rhマイナス)の提供者登録と外国人花嫁の受診支援活動を始めた。「『命』はかけがえのない島のすべてのものを意味する」と話す竹井さん。将来は「島のための活動に参加できたことを誇りに思えるボランティアを提言していきたい」と夢は大きい。  (新城孝夫記者)



  
「ぼらんてぃあ・ん」のメンバーと同会の活動を支援している平良市社会福祉協議会の職員たち。前列左から徳嶺正美、代表の竹井太、同・竹井朋子、伊藤美和子、後列左から下地一司、島尻郁子、下地孝子、伊藤昌明、竹井千李奈、松川英世平良市社協事務局長

外国人花嫁の受診も支援

 竹井さんは、宮古の自然や温かい人柄に惚れ込む大の宮古好きだ。4年前、永住を決意し宮古に移住した。宮古島徳洲会病院に勤め、重病の患者を手術することも多い。その中で、陰性血液の在庫が島に無いことが分かり、これが提供者登録活動のきっかけとなった。
 陰性血液の人は、陽性者と比べて少なく、200人に1人(0・5%)の割合。そうした人々の緊急時に備える提供者登録は、「島に足らない医療の補佐を」との思いからだった。
 「ぼらんてぃあ・ん」の「ん」は、宮古に来る人が最初に耳にする方言「んみゃーち」の「ん」からもらった。同会は昨年6月に発足。提供者登録は、平良市社協の協力を得て、献血会場などにチラシを張りPR。現在、登録者(会員)は18人に達した。
 会員で平良市社協職員の島尻郁子さんは、6年前に輸血で助かった。宮古に在庫がないため、夜間に沖縄本島から血液を空輸してもらったという。「恩返しがしたい」と、今後の活動に意欲的だ。
 松川英世同社協事務局長は「地域福祉は、医療や文化の充実した社会を築くこと。積極的に協力していきたい」と話す。
 竹井さんは「全員登録」に期待する。
 宮古に100人を超えるといわれる外国人花嫁の医療支援は、言葉が通じないために起こる医療不安を解消しようと取り組んでいる。これにも、優しい心遣いがにじむ。朋子さんは「例えば、ベトナム語で『お腹がいたい』と言っても通じないことがある。将来的には、そうした各国の言葉を日本語に訳した問診用の冊子を作成し、宮古だけでなく島外の必要な所に配布する。実現すれば宮古島を大きく発信できる」と、夢を描く。
 「おじい、おばあ、元気ですか。血圧は大丈夫ですか」。平良市社協のデイサービスでのざっくばらんな健康相談も竹井さんのもう1つの顔だ。お年寄りたちは「医者とは思えない気さくな人。何でも気軽に話せる」と、その人柄にほれ込む。
 竹井さんは来る3月徳洲会病院を辞め、今年中の診療所開業を目指す。「開業後の活動は、医療班とボランティア班に分け、ボランティアは医療班の目指す予防医学の普及活動のサポートをしつつ、宮古島での活動が他の地域からまねをしていただけるような企画を進めていきたい。できれば、高校生たちにも参加してもらいたい」と、将来計画を話す。
 陰性血液提供登録は「ぼらんてぃあ・ん」(電話:0980・75・6030)と平良市社協(電話:0980・72・3193)で受け付けている。 
外国人の受診支援問い合わせは「ぼらんてぃあ・ん」(電話:0980・75・6030)。

 写真説明・分かりやすい健康講話はデイサービスのお年寄りたちから人気

 「足らない医療」を補佐 代表の竹井太さん
 「小さなことからコツコツと」をモットーに、特に「足らない医療」の補佐をはじめたいと考え活動を始めました。
 Rh因子陰性者は陽性者に比べて少なく、全人口の0・5%とされています。約200人に1人の割合で、島内には300人弱の方がいらっしゃる計算です。内地では陰性血の確保が問題になることはありませんが、宮古島では血液センターがなく、また供血者の数、ストックの問題、搬送条件の問題など、24時間態勢で確保することは困難です。
 現在、宮古島では陽性血のストックはありますが、陰性血は使用頻度と医療経済性を考慮し、用意されていません。このことは、突発する事態では、陰性血液は間に合わず不測の事態も起こりうるということを意味しています。安全で健康に過ごせる島づくりのために、ご協力をいただければと思います。みんなの命をみんなで守りましょう。
 現在、宮古島も国際化の進展とともに外国人嫁さんが100人を超え、受診する際の言葉の不安は計り知れないものと想像します。皆さんに安心して診療を受けられる環境を提供したいと考えていますので、気軽に相談ください。

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