地域に「タンディガータンディー」 

(※タンディガータンディー=宮古方言で「ありがとう」という感謝の意)

アイランダーアーティスト 下地 暁(さとる)さん

 ジャンルにとらわれない独自のスタイルを追求する「アイランダーアーティスト」下地暁さん。言葉の端々に地域や両親への熱い気持ちがあふれ、宮古への愛情を歌でストレートに表現する。方言を交えた曲作りや伝統文化を継承するためのクイチャーフェスティバルの企画するなど精力的。昨年から公民館ライブツアーもスタートさせ、原点に返った音楽活動を展開している。 (洲鎌恵仁記者)

 アイランダーアーティスト下地暁さんは多くの顔を持つ。ミュージシャン、プロデューサー、パーソナリティー、クイチャーフェスティバル実行委員長など、どの顔もすべて宮古の方言や伝統文化を次世代へつなごうという熱い気持ちが形となったものだ。
 宮古各地の公民館を回る「タンディガータンディ・公民館ライブツアー」をスタートさせたのも宮古への感謝の気持ちから。「地域の原点は公民館。公民館ライブは昔あった紙芝居と同じ。地域や家族の触れ合いの場になればうれしい」と下地さん。
 地元、城辺町長間を皮切りに忙しい仕事の合間をぬって、これまでに10カ所以上の公民館を回っている。「感謝の思いで始めた」ため、全会場入場無料。要請があればどこへでも足を運ぶ。
 ライブでは「オトーリソング」、「あぐがぱな、どぅすがぱな」「僕の島」など代表曲を熱唱。ステージを下り、観客と同じ目線で触れ合う場面も見られ、会場は温かさにあふれる。ラストは観客と一体となってクイチャーを踊り幕を閉じる。
 一緒に活動する「ドゥグリーズ」は伊良部将之さん(ギター)、荻野鉄也さん(ハーモニカ)の2人。「良い仲間と出会えたことからできること」と下地さん。演奏だけでなく、観客の笑いを誘うメンバー同士の絶妙な掛け合いは公民館ライブのもう 1つの見どころだ。

 写真説明・公民館ライブツアーのスタートとなった長間公民館でのライブ。左がギターの伊良部さん。右がハーモニカの荻野さん

  歌で触れ合い交流
   
盛況、公民館ライブツアー

 伊良部町の前里添多目的施設で今年の第1回目となるライブを開催した。会場には子供からお年寄りまで約 50人の地域住民が集まった。大盛況に終わったライブの後に、「楽しかった。今から家に遊びにおいで」と演奏に感動したお年寄りが下地さんの手を取った。
 「普段コンサートに行かない子供やお年寄りが来てくれる。おじい、おばあが手をつないだり、抱っこしたりして子供と来てくれるとやって良かったと最高の気持ちになる」。
 クイチャーの底辺拡大や子供たちの夢の手伝いをしたいと結成した「パニパニガールズ」も下地さんと一緒に公民館ライブに出演。若さあふれる歌声や踊りで子供からお年寄りまで魅了する。
 「この島から何が出来るか。やれば出来るし、離島の離島だからこその面白さもある。一つのことをやり遂げるとまた新しい何かを思い付く。まだやりたいことはたくさんある」と下地さん。地域に根差したアイランダーアーティスト下地暁という木は、宮古への愛情をエネルギー源にたくさんの枝葉をつける。まだまだ成長の途中だ。

 下地 暁(しもじ・さとる) 
高校卒業後、上京。多くの有名ミュージシャンらとともに活動する。九二年、音楽を通し宮古方言を次世代につなごうと活動拠点を宮古に移し、ジャンルにとらわれない「アイランダーアーティスト」として活動を始める。

 写真説明(上)・ステージを下り観客席の中でも演奏は行われる



「交流することは自分にとって刺激になる」と観客にマイクを向ける下地さん



大勢の地域住民が公民館に詰め掛けライブを楽しむ


パニパニガールズも若さあふれるステージで花を添える

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