守ろう島の豊かな自然 

住民と連携、ごみ問題に取り組む

平良市立 池間中学校

 周りに美しい海が広がり、陸部にはさまざまな野鳥が住む湿原もあるなど、豊かな自然に恵まれた池間島。平良市立池間中学校(野原敏之校長)の生徒17人は、そんな掛け替えのない自然を守り未来につないでいこうと島のごみ問題に取り組んでいる。合言葉は「考えは地球規模で、行動は足元から」。ごみゼロの日の5月30日は、住民と連携して島の南海岸を清掃し足元を見つめた。



池間中学校の生徒たちは美しい島の自然を守ろうと島のごみ問題に取り組んでいる

考えは地球規模で行動は足元から

 同校は、平良市教育委員会指定の環境教育推進校。指定期間は03、04年度の2年間。初年度は、総合的な学習の時間を活用して、ごみのポイ捨てに関するアンケート調査や島のごみの実態を把握した。
 11月の環境(エコ)探求学習発表会では、アンケートの結果から5割以上の住民が、「ポイ捨てをしている」との実態を指摘。ビデオでは島のごみの状況が映し出された。子供たちは調査結果を踏まえ「島を汚している犯人は島の住民」と厳しく指摘し、ポイ捨ての習慣を無くすよう強く促した。
 12月には、取り組みをさらに発展させ、生徒と住民が一緒に沿道の雑木林を清掃。今回の南海岸の清掃は、それに次ぐ第2弾となった。
 池間中生徒会が呼び掛けた清掃には、子供から大人まで約100人が参加。自転車や船のエンジンなど、約1トンのごみを回収した。
 参加した70歳代の男性は「海で生計を立てている人が、海に捨てるから厄介」と、困惑の表情。75歳の女性は「島の一部の人間だろうが、情けないの一言に尽きる」と、モラルの無さを憂慮した。
 生徒会長の浜元優美さんは「みんながルールを守ってほしい」、仲間泰弘君は「子供たちが泳いでいる海だから、大切にしてほしい」と訴えた。浜川和樹君と佐久本沙織さんの2人は、「ポイ捨てごみは、住民の意識次第で無くなる」と強調した。
 研究主任の宮城克典教諭は「生徒たちの中には、ポイ捨てしたという子もいたが、今では自分の出すごみは持ち帰るようになっている」と、成長ぶりを紹介。そして「美しい島の自然をいつまでも残していこう、という今の気持ちをいつまでも持ち続けてほしい」と願った。
 野原校長は「ごみは捨てない、落ちているごみは拾う、汚れた所は率先して清掃するという気持ちを生徒ばかりでなく島の皆さんが持ってほしい」と期待する。
 同校は11日には、毎年行っている海浜漂着ごみの調査を行う。
 ごみのポイ捨ては、池間島ばかりでなく、宮古全地域で指摘されている問題。解決には住民のモラル向上が一般的に言われているが、池間島では「実際に摘発しなければ改善されないのでは」と言う人もいた。関係者の中には池間島のように、子供たちから大人を啓蒙していく学校教育が有効と強調する人もいる。
  (担当記者・新城孝夫)

 写真説明(上)・海浜漂着ごみの調査は平良海上保安署と連携で2001年より行われている
 写真説明(中)・ごみゼロの日の清掃は児童生徒や地域住民が一緒になり行われた
 写真説明(下)・海岸からは自転車や漁船のエンジンなどいろいろな金属廃棄物が引き上げられた

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