トライアスロン20回大会記念

 全日本トライアスロン宮古島大会の運営を支えるボランティアは約5000人。大会本番では24の部班に分かれ、各持ち場で役割をこなす。宮古島大会のボランティアは大会前の清掃や当日の応援などを含めるとかなりの数に上るとみられ、地域一体となった取り組みは高い評価を受けている。このうちの、マッサージ班、手話通訳班に参加するボランティアの取り組みを紹介する。

 

選手の疲れた体と心ほぐします

ボランティアマッサージ班



マッサージボランティア班として参加する高校生たち

 「お疲れさまでした」―。スイム3キロ、バイク155キロ、ラン42・195キロの長い戦いを終え、疲れ切った選手たちの体をもみほぐし、明るい笑顔で心を温めるボランティアマッサージ班。毎年1500人の選手が出場する全日本トライアスロン宮古島大会で、高校生ボランティアの存在は欠かせない。今年も高校生ボランティア212人、一般ボランティア30人、計242人が選手たちの体と心を癒やすため、マッサージ班として参加する。
 ほとんどが素人のため大会本番へ向け少しでも技術アップを図れるよう、柴田はり・きゅう治療院の柴田邦子さんの指導の下、マッサージ講習会で技術を習得している。人間の体の仕組み、筋肉の仕組み、つぼ、どこをマッサージすれば効果的か、負担にならない方法は?など、一からマッサージについて知識、技術ともに身に付けている。今年からは救急救命講習も合わせて受け、心肺蘇生法も学んでいる。
 11日に宮古広域消防組合で行われた講習会では、宮古高校の生徒たちがマッサージや心肺蘇生法について指導を受けた。「反動をつけたもみ方はしないように」「マッサージをする時は絶対にふざけないこと」「選手の反応を見ながらマッサージすること」―。柴田さんの指導に従いながら、ペアを組みマッサージの技術習得に励んだ。今年初めてマッサージ班として参加する上地佳奈さん(宮高2年)は「去年はバイクの誘導などであまり選手と話す機会が少なかったけど、今年は楽しみ」と笑顔。今年で3度目となる長崎倫世さん(同3年)は「選手と話しをして、その人の出身地のことや宮古のことを話すのが楽しい」話した。
 マッサージボランティアでは、多くの選手との出会いもあるのが魅力の1つ。行ったことのない土地や国の話、自分たちが住む宮古島の話、学校生活の様子。マッサージをしながら会話し、マッサージする方もされる選手も疲れを忘れ楽しいひとときを過ごす。
 おぼつかない手つきながらも選手たちの疲れを少しでも癒やそうと、日々努力を重ねる高校生たち。今大会でもマッサージ班の高校生ボランティアたちが活躍する。
 今大会運営を支えるボランティアの担当各部門は次の通り。
 競技総務部、水泳部、自転車部、マラソン部、連絡通信部、時計記録部、安全部、会場設営部、庶務部、放送部、式典部、広報部、国際部、医療救護部、マッサージ班、食糧部、エイドステーション部、宿泊運搬部、接伴部(来賓の送迎や式典会場への案内)、手話通訳班、花冠製作、花火警備、市町村支部、事務局内高校生

 写真説明(上)・柴田さんの指導を受けながらマッサージの方法を学ぶ生徒
 写真説明(中)・互いにペアを組み、マッサージ。本番へ向けて実践は大事
 写真説明(下)・高校生たちの指導に当たる柴田さん。大勢の高校生たちに指導するために悪戦苦闘
 

高校生たちは私の宝
 第2回大会から指導 柴田 邦子さん(64歳)
 第2回大会からマッサージ班として多くの選手を支え、これまでに延べ3000人余の高校生たちの指導に当たってきた柴田邦子さん(64)。宮古島に移り住んで25年。自分自身の持っている技術を地域のために提供し続けている。「高校生は私の宝物。高校生たちに支えられてマッサージ班はある。ボランティアを体験したことで、少しでもやって良かったという思いを感じてもらえればいい」と毎年温かい目で高校生たちを見守っている。
 第1回大会では沿道で選手たちに声援を送った。軽快に走るトップランナーを見送ったあと、選手の流れが後半にさしかかり次々とやってきたのは、足を引きずったり、苦しそうに顔をゆがめた選手たち。当時、柴田はり・きゅう治療院を営む柴田さんは強い衝撃を受けた。「私のもっている技を役立てる必要がある。」。第2回大会から医療班のマッサージに加わり、一般のボランティアとともにマッサージをほどこしてきた。第3回大会からマッサージ班が独立し、高校生ボランティアも年々増え始めた。
 大会も今年で20回を迎える。「最初の大会の時に出会った高校生たちが社会人となり、父となり母となった姿を見るのが一番うれしい。どこかでばったり出会い『あの時は楽しかったねー』なんて話せる瞬間が今一番の喜び」と見せる笑顔から、これまでの出会いと喜びがうかがえる。
 今大会にもマッサージ班として212人の高校生が参加。「『情けは人のためならず』。必ず自分のもとに返ってくる。喜びを味わうことで自分自身を磨ける。ボランティアを経験したことを誇りに思ってほしい」とメッセージを送った。

 写真説明・第2回大会からマッサージ班や指導者として携わっている柴田さん


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