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キビ作助っ人「七人の侍」
 
 
城辺町 さとうきび生産組合
 

kagi030622-1.tif (195212 バイト) 「地域のサトウキビ作を守り、発展させたい」。これが農事組合法人・城辺町さとうきび生産組合(代表理事・宮國明雄)の思いだ。組合員7人は農業機械を駆使して、人手不足の農家を支援。今月上旬には、城辺町の地力向上を目指す堆肥センターを稼動させた。
 
写真・左から砂川勝義、新崎久雄、下地修、砂川博之、砂川明寛、宮國明雄、友利義和(敬称は略させていただきました)

◆ 地力向上へ堆肥センター稼働
 「昔、堆肥を多く使っていたころは、株が立っていた。これが化学肥料に頼る現在は、立たなくなった。不萌芽は地力と関係があるに違いない」(宮國代表理事)。堆肥センターの稼働は、キビの反収向上ばかりでなく将来の株出し復活や、環境に優しい農業の実現に結び付くと期待されている。
kagi030622-2.tif (167264 バイト) 事業名は「農業生産総合対策事業」。事業費6900万円のうち、6200万円は国、県、町が補助した。所在地は下北部落の北側。今年3月に完成し、このほど稼働を開始した。年間の生産計画は1100トン。キビ畑に必要な堆肥は反当たり2―3トンとされ、同施設の稼働では年間に44ヘクタールの散布が可能になる。
 堆肥の原料には地域副産物のバガスや牛糞を使う。これら副産物の使用は地域資源のリサイクルと同時に、化学肥料を減らし地下水保全に直結することになる。
 同センターは、家畜糞尿処理施設の設置を義務づけている「家畜排せつ物法」の来年11月からの完全実施も視野に入れ建設した。組合では、牛糞提供を希望する農家から原料を回収し、見返りにその分の堆肥を当人の畑に還元することにしている。
 宮國代表理事は「近年は農家が高齢化し、牛の糞を畑に持って行けない人も多い。そういう皆さんの手助けをしたい」と抱負を話した。
 不萌芽の原因として指摘されているのは、土壌害虫による食害や堆肥使用量の減少など。以前、宮古では各農家で馬や牛、山羊などを飼い、堆肥を大量に生産していた。しかし、農業機械が馬の代役を果たすと、堆肥生産が減った。
 宮古製糖城辺工場によると、1978―79年期(操業19期)に全体の60%を占めていた株出しの収穫面積は、2001―02年期(同42期)には約4%と激減した。毎年収穫できる株出し面積減に伴い、全体面積も19期に2306ヘクタールあったものが、42期には1506ヘクタールと減り、これに伴い生産量も減った。
 
写真説明・このほど稼働を開始したバガスセンター。原料のバガスは宮古製糖城辺工場から安く受け入れている

◆ 農機を駆使、人手不足補う
kagi030622-4.tif (168100 バイト) 高齢者にとって斧を手にキビをなぎ倒し、集めて枯葉をはぎ取る収穫はきつい仕事。高齢化が進んだ現在のキビ作では、こうした過重労働に伴う「キビ離れ」の進行が懸念されている。同状況下、生産組合は、年寄り農家はもとより人手不足農家を支援し、キビ作を維持発展させていこうと2001年8月に発足した。
 組合に集積された機械はハーベスター7台、トラクター7台、プランター(植え付け機)7台など。農家の要望を受けて、耕起や整地、植え付け、収穫などの作業を請け負っている。
kagi030622-3.tif (172956 バイト) 農機集積のメリットは、農家の要望に迅速に対応できるようになったこと。一昨年の夏植えの時期には、ある農家から3ヘクタールの植え付けを頼まれ、3台のプランターを繰り出したところ1日で終わり喜ばれたという。
 同組合は耕起、砕土、整地、植え付け、収穫の5つの作業工程を1つにしたセット料金・4万500円を設けたのが特徴だ。このメニューを利用した場合、仮に反収を6トン、キビ代金を12万円とすると差し引き約8万円の所得(肥料、農薬代除く)となり、現在の小作料金(反当たり1万―1万5000円)と比べ、所得が増えると試算されている。
 吉野部落の砂川恵一さん(73)は、組合を利用している1人。「年取ったら機械に頼るしかない。皆さんがよくしてくれるので助かっている」と、感謝した。
kagi0306-5.tif (168638 バイト) 代表理事の宮國さんは「キビ作の機械化では畝幅を140センチにすることが大事。狭いと収穫の際の踏みつぶしロスが多い」と話した。
 問い合わせは城辺町さとうきび生産組合(電話0980-77-2988)まで。
 
写真説明(上)・ハーベスターは人手不足の農家から頼りにされている
写真説明(中)・プランターによる植え付け風景
写真説明(下)・大型トラクターで覆土作業を行う生産組合のメンバーら

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