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地力向上へ堆肥センター稼働
「昔、堆肥を多く使っていたころは、株が立っていた。これが化学肥料に頼る現在は、立たなくなった。不萌芽は地力と関係があるに違いない」(宮國代表理事)。堆肥センターの稼働は、キビの反収向上ばかりでなく将来の株出し復活や、環境に優しい農業の実現に結び付くと期待されている。
事業名は「農業生産総合対策事業」。事業費6900万円のうち、6200万円は国、県、町が補助した。所在地は下北部落の北側。今年3月に完成し、このほど稼働を開始した。年間の生産計画は1100トン。キビ畑に必要な堆肥は反当たり2―3トンとされ、同施設の稼働では年間に44ヘクタールの散布が可能になる。
堆肥の原料には地域副産物のバガスや牛糞を使う。これら副産物の使用は地域資源のリサイクルと同時に、化学肥料を減らし地下水保全に直結することになる。
同センターは、家畜糞尿処理施設の設置を義務づけている「家畜排せつ物法」の来年11月からの完全実施も視野に入れ建設した。組合では、牛糞提供を希望する農家から原料を回収し、見返りにその分の堆肥を当人の畑に還元することにしている。
宮國代表理事は「近年は農家が高齢化し、牛の糞を畑に持って行けない人も多い。そういう皆さんの手助けをしたい」と抱負を話した。
不萌芽の原因として指摘されているのは、土壌害虫による食害や堆肥使用量の減少など。以前、宮古では各農家で馬や牛、山羊などを飼い、堆肥を大量に生産していた。しかし、農業機械が馬の代役を果たすと、堆肥生産が減った。
宮古製糖城辺工場によると、1978―79年期(操業19期)に全体の60%を占めていた株出しの収穫面積は、2001―02年期(同42期)には約4%と激減した。毎年収穫できる株出し面積減に伴い、全体面積も19期に2306ヘクタールあったものが、42期には1506ヘクタールと減り、これに伴い生産量も減った。
写真説明・このほど稼働を開始したバガスセンター。原料のバガスは宮古製糖城辺工場から安く受け入れている |