大会まで1週間
ムード高まる
第19回全日本トライアスロン宮古島大会
地元選手紹介 (下)
第19回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古広域圏事務組合など)は、本番の20日まで残り1週間。コース沿いには応援幕が掲げられ、ムードが高まってきた。間もなく島外から多くの選手が来島し、宮古島はトライアスロン一色に染まる。先週に引き続き、練習に励む地元選手を紹介する。 |
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ミス宮古の上里さん(24才)初挑戦 兄の良彦さん(31才)も出場 城辺町 兄の良彦さんは4回目、妹ミス宮古のかおりさんは初出場。「兄さんに力が残っておれば、2回ゴールしてほしい」。かおりさんは兄妹一緒の感動のゴールを描く。 良彦さんは学生時代に陸上やバスケットボール、ハンドボールなどをしていた。「スポーツをする人にとってトライアスロンは挑戦したくなる競技。いつかは出たいと思っていた」。水泳は体育専門学校の在学中に習い、自転車は宮塚英也さんの著書で勉強。練習を重ねて第16回大会に初出場し11時間台の好タイムで完走した。「言葉で表せないくらいの喜び」であった。 「トライアスロンは自分自身への挑戦。限界を知り、心を鍛えることができた。這ってでもとの思いにかられる。この精神力はほかのことにも生かせる」と、トライの魅力を話す。 かおりさんは、中学生のころ陸上競技の800メートルで宮古1位になり、県大会に出るほどの選手だった。そのころから「いつかは自分も」と思っていた。兄の一生懸命の姿を見て「気持ちが高まり」昨年の3月ごろ出場を決意。この時から兄をコーチに練習を積んでいる。ペース配分や各種目の注意点など詳しく教えるという。「とにかく1つ1つを完走したい。無事に終わることしか考えていない」と、完走への思いは強い。 職場の皆さんは、すでに応援幕を掲げ応援している。「終わったらみんなそろって、ビールで乾杯したい」と、とびっきりの笑顔を見せた。 |
奈良の仲間が待ち遠しい 井上 孝一さん(62才) 下地町 下地町上地の住宅は、コンクリートの2階建。広々とした庭にはバナナやヤシが立ち並び美しい。「宮古は海がきれい。冬も温かい。定年後は宮古に住みたいと思っていた」。希望が叶い奈良県から宮古に移住して3年になる。 トライアスロンは、職場の仲間に誘われ、マラソンを始めたのがきっかけだった。宮古の大会はテレビ放送で知り、第3回大会に初出場した。今回は12回目。これまでの最高タイムは10時間37分で、悪くても11時間台をキープ。しかし昨年は、バイクの故障でフィナーレのころの花火に歓迎された。「今年は、11時間台では入りたい」と、張り切っている。 奈良県と宮古島のトライアスロンクラブに所属している。奈良県からは4、5人の仲間が参加を予定しており、久々の面会を楽しみにしている。 「宮古島の大会は、参加者が多く前にも後ろにも誰かがいる。応援の皆さんも多い。暗い道を疲れ切って走るのは心細いが、宮古島は最後まで人影があるので心強い」とほかと違う良さを話した。 |
目標は10時間台 与那覇 孝さん(32才)下地町 3回目の出場。最初の年のタイムは11時間14分。昨年が11時間04分と好成績。今年は10時間台を目指す。 中学生のころ第1回大会を見て「いつかは出たいと思っていた」。 3年前那覇から宮古に赴任し出ることを決意。ティダチームに入り、水泳とバイクは力を付けた。 3回目の今年は、ランのタイムの短縮に照準を当て、現在毎朝、10キロぐらい走り込んでいる。 「苦手の水泳は完泳し、陸に上がってから得意のバイクとランでタイムを縮めたい」とイメージする。 宮古の大会については「応援やボランティアなど、運営が素晴らしい。沿道では子供たちが、ゼッケンで名前を調べて『○○さん』と声を掛けてくれる。これが励みになる。さすがに宮古島という感じがする」と生まれ島の大会を自慢した。 トライアスロンの選手にはそれぞれのドラマがあるが、過去の大会では特に「義足の人の完走」が印象に残るという。 トライアスロンのほかに三味線、バレーボールと多趣味。「自分の一番の趣味は三味線。これからボランティアをして、地域の皆さんと交流したい」と、表情をほころばせた。 |
ゴールは長男と 上地 広男さん(30才) 下地町 「長男の紘乃進と一緒にゴールしたい」。上地広男さん(30)は初出場。長男が歩くころに「親の頑張りを見せたい」と思い出場を決めた。 練習は紘乃進君が生まれて間もなく開始した。最初は自己流でやっていた。昨年8月からは、宮古島トライアスロンクラブに入り、本格的な技術を学んでいる。クラブでは月1回講習会を開き、記録会では練習の成果を試す。「クラブに入って力が付いた。3月の記録は2月に比べて10分余り縮まった」と自信をみせる。 初出場の広男さんにとって、今回のトライアスロンは未知の体験となる。「途中でばてないよう気を付け、完走だけを目指す。スイムは遅いので完泳のみ。バイクで取り戻して、マラソンは余裕を持って走りゴールしたい」と、完走に照準を当て気を引き締める。 「今まではボランティアをして感動をもらっていたが、今度は与えたい。制限時間の30分前には帰り、仲間や職場の皆さんと乾杯したい」と意気込みを話す。妻の幸代さんは「無事に完走すればいい」と祈る。 |
県内最高齢・19回出場 下地 春賢さん(64才) 多良間村 第1回大会から連続出場している。出場者の中では県内最高齢。苦手のバイクの練習に力を入れており「今年は完走できる」と自信をみせている。 第1回大会の時、多良間村からは春賢さんのほかに5、6人の若者も出場した。「水泳が得意な多良間チームをアピールしたい」と参加したという。しかし、春賢さんは体調を崩しリタイア。第2回大会は、前年の反省を生かし初完走した。 「なぜ毎回出るかって?」「泳ぐのが好きで、走るのも好き。何より応援がいい。皆さんのために何が何でも完走したいとの気持ちになる。走っている時はきついけど、ゴールした時の喜びは言葉では表せない。これが忘れられず、また出たいとの気持ちになる」と話す。 春賢さんは、18回の出場の中で多くの人と交流し友人になった。「英語は話せなくても、身振り手振りで外国人たちと接してきた。沖縄本島や本土の友人も多く、親しく付き合っている」とトライアスロンのもう1つの良さを話す。 |