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あーぐ(宮古民謡)に親しむ

久松地区中央公民館三味線サークル

先人の歌心・響かす

 先祖の思いや暮らしなどが感性豊かに詩(うた)われている宮古民謡。久松地区中央公民館の三味線サークルは、そんな古き良き文化に親しむ仲間たちだ。活動は10年余に及び、この間約300人が三味を弾き歌う趣味を身に着けた。

 同三味線サークルの講師は、宮古民謡師範の与那覇金吉さん(76・久貝)。1991年に、与那覇さんが講師を承諾し、スタートした。
 サークルは、年間を通し活動している。会員が集うのは毎週火、木、土曜日の午後8時から10時。新入会員のほとんどは三味線の初心者で、そうした皆さんにはまず基本的な音階(指位記号)を指導。次ぎに琉球古典音楽の楽譜「工工四(クンクンシー)」と民謡の録音テープを配り、本格的な練習に入っていく。
 会員の年齢層は20代から60代までと幅広い。4日のサークルには、約20人が参加した。みんなが三味線を手に、「漲水のクイチャー」などをにぎやかに演奏。個人練習では、宮古民謡コンクールに向けて「伊良部とうがに」などの難しい曲の練習に励む会員もいた。
 新しく練習曲に取り組む場合は、まずは歌詞の意味の説明から行う。与那覇さんは「意味を理解しないと、歌は聞く人の心に響かない」と強調した。
 私用で宮古に来たついでに、三味線サークルも楽しんでいる羽床(はゆか)妙さん(26・東京都)は「本土と違う宮古民謡には、ひかれるものがある。この機会に覚え、帰ってからも楽しみたい」と、宮古民謡にぞっこんの様子。
 夫婦そろって参加する大村徳家さん(72)は「以前は仕事ばかりで楽しみがなかった。今では、趣味を通して妻と話も弾み夫婦円満になった。才能は妻(カツ子)の方が上だね」と、苦笑いしていた。
 九年間続けて宮古民謡教師の資格を取った平良美枝子さんは「毎回にぎやかで楽しい。チームワークが強く、練習も熱心」と、仲間たちの元気さを自慢した。
 同サークルは、毎年の民謡コンクールで多くの入賞者を輩出。民謡の夕べや平良市生涯学習フェスティバル、外国人トライアスロン選手の激励会参加など、社会活動にも積極的に取り組んでいる。
 与那覇さんは「民謡は自分の心を豊かにし、元気にもなる。先祖から伝わる素晴らしい文化を多くの人が楽しんでほしい」と話している。

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宮古民謡を親しむ仲間達


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合奏では一糸乱れぬ三味の音と男女が織りなす美しい歌声が響く
宮古民謡一口メモ
 宮古の庶民の暮らしの中で自然に生まれ、歌い継がれてきた歌謡。いつのころ誰が作り歌いはじめたのか、ほとんどの歌について分かっていない。宮古民謡は「あーぐ(歌)の主はいない(みんなの歌)」といわれるように、庶民の生活と密着してきた。自分の思いを歌に託す即興性などを特徴とする。「とうがにあやぐ」や「伊良部とうがに」、「多良間しゅんかに」「なりやまあやぐ」などのほか、多くの名歌が知られる。(松原清吉さんの論文「あやぐの抒情」など参考)

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