宮古の素顔
平良市下里公設市場
島の香り満載/野菜、魚、肉、新鮮が売り
現在の下里公設市場は、1968年から69年にかけて改築され同年3月に開所した。現在営業しているのは約40店舗。時代の流れとともに当初の140店舗より大幅に減った。 同市場は地元の野菜農家と直結しているのが一番の特徴。各地の農家が運び込むと、出店業者がすぐに買い取り、商品台にはみずみずしい野菜がずらりと並ぶ。野菜が豊富な今の時期、種類は約20と多い。 出店業者は中間卸もしており、垣花キヨさんとスーパー経営者の某男性とは長い付き合い。漫才にも似た商談の末ゴーヤーを安く売り、その上にほかの野菜もサービス。同男性は「市場での仕入れは、計量がきっちりしていないのがいい」と、その日の仕入れに満足の様子であった。 野菜は市場からしか買わないという本村英子さん(70)は「安いし何でも新鮮。おばさんたちとの雑談も楽しい」と、市場の良さをPR。島ラッキョウとニンジンを袋いっぱい買った。 玉寄一勇さん(67)は市場に鮮魚店を構えて38年になる。先月25日は、平良市漁協の早朝競りで、タコやミーバイ、イラブチャ、マグロなど約20キロを仕入れた。1日の売り上げは寿司屋への納品が半分、一般客相手が半分。この日は午前九時ごろから客が入り、1人の女性はイラブチャ一匹を買った。三枚おろしに要した時間は約五分と早技。刺身包丁さばきも繊細で、白身がトレーに美しく盛りつけられた。魚売場常連客の下地明美さんは「新鮮で、安いし種類も多い」と、太鼓判を押した。 西里幸子さん(69)は、精肉販売で5人の子供を育て、3人は大学を卒業した。35年間、ナタを振るい続けてきた腕は筋肉が発達し太い。11年前には、三男の重範さん(45)が店を継ぎ、後継者も育った。現在1日に売る豚肉は2頭分。常連客は多く「新鮮で安い」「柔らかくておいしい」「幸子さんの人柄がいい」などと、評価は高かった。重範さんは「得意先(レストランなど)をもっと増やしたい」と、店の盛り上げに強い意欲を見せた。 市場では宮古みそや油みその数々、カマボコ、テンプラ、モチ、アフ(ケーキ)など、宮古ならではの特産品も数多くそろえている。 下里公設市場は、建築から33年が経過し老朽化。このため平良市では来年度の改築を予定している。出店業者たちは「新しい市場では、駐車場を充実させてほしい」と要望している。 下里公設市場の沿革 写真説明(上から)・玉寄一勇さんは市場に店を構えて38年、新鮮な魚が好評 |