インサイドリポート

新ごみ処理施設建設(下)
先進地「住民と本音で話し合い」

先進地視察/
建設費5%をまちづくり充当

 

 先進地視察で訪れた那覇・南風原クリーンセンターでは、地元南風原町で反対活動を行った東新川自治会の大城隆会長ら四人が参加し、宮古側の住民らと意見交換会を行った。
 ◇受け入れたいきさつ
 同センターは南風原町東新川に建設されている。建設に至るまでには、地元の同自治会などから猛反発があった。大城会長は「受け入れたくて受け入れたわけではない。絶対に許さないと思った。どこかが受け入れなければならず、過去の流れから受け入れた」と当時を振り返る。
 別の関係者は「旧施設ではハエの発生や灰の被害が多かった。いつまでも古い施設ではだめだ。賛成せざるを得なかった」と苦渋の選択であったことを明かした。
 結局、行政側がまちづくりをすることで合意。国や県より厳しい基準の公害防止協定を結び、建設を受け入れた。
 行政側は建設予算の五%を、まちづくり事業に充てることを約束。当初予算が三百億円だったことから十五億円が地域住民のために使われることとなった。うち十一億円で還元施設を、四億円は四自治会でそれぞれまちづくりに利用する予定となっている。
 ◇マイナスイメージ
 宮古側の住民からは「新施設になってメリット、デメリットは」と質問が挙がった。これに対し自治会側は「以前はとても汚い場所だった。今はきれいになった。デメリットはない」と語る。
 施設は良くなった、しかしペットを捨てることや不法投棄などはあるという。空き地にはお墓が増えるなど地域に対するマイナスイメージは強く「施設があることで負の遺産を背負い、地域がごみ捨て場と差別化される。目に見えない被害がある」と訴える。
 ◇還元施設を活用し地域活性化
 現在、同センター近くには、体育館や多目的運動場、研修室、大浴場などを備えた「環境の杜ふれあい」を建設中。今年七月オープンを目指す。
 大城会長は「この地域に人が集まってもらい地域を活性化させるのが目的。われわれだけの施設ではない。この地域を注目してもらいたい」と話す。
 ◇住民の反応
 視察した住民らは「素晴らしい施設だった」と口をそろえる。臭気を外部に出さないよう対策が取られた設備は、宮古の現施設とは雲泥の差を感じたようだ。しかし、建設に関しては「目の前に施設が建つことは気持ちの問題」「まずはしっかりとした公害防止協定の策定」と慎重な姿勢を見せる。
 中には「今の施設の建て替えと思えば反対ではない」、「視察した場所は住宅地ではなく、参考にならない」と賛成・反対に分かれる住民もいた。
 ◇住民の合意形成
 市側はこれまでに周辺住民を対象に二度、説明会を開催しているが、反対住民は「絶対に許さない」と強硬な姿勢を崩さなかった。
 視察した周辺住民らは賛成・反対を決めていない住民がほとんどだった。施設に対するイメージを払しょくしたかった市側の関係者は「反対住民に参加してもらいたかった」と肩を落とす。
 市側は報告会を兼ねた住民説明会を今後、実施する予定。反対住民の不安の解消、選定した理由を住民に理解させる説明ができるのかが鍵になる。
 意見交換会の最後に東新川自治会の関係者はこう語った。「行政と住民が本音で語り合うことが解決の糸口になる」。
 (洲鎌恵仁)

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