インサイドリポート

新ごみ処理施設建設(上)
建設地は埋め立て地・最終処分場跡

先進地視察/住民と公害防止協定

 


糸豊環境美化センターを視察する住民ら

 宮古島市の新ごみ処理施設建設で同市は十八、十九の両日、候補地となっている現施設の周辺住民らとともに沖縄本島の先進地視察を実施した。浦添市リサイクルプラザ、那覇・南風原クリーンセンター、糸豊環境美化センターの三施設を視察し、住民に新処理場への理解を求めた。先進地の設備を紹介し、新施設建設問題を探る。

 ◇各施設の概要
 浦添市リサイクルプラザは、同クリーンセンターに隣接する施設で主に環境学習やリサイクル品の展示販売の場として利用されている。NPO法人が運営し、年間の来場者は一万八千人。子供服などは無料で提供し、家具や自転車などは三百円から三千円で販売(抽選)している。建設場所は埋め立て地で工業地帯となっており、建設に関して住民の反対はなかったという。
 那覇・南風原クリーンセンターは那覇市と南風原町の一部事務組合で建設された。建設場所は旧施設に隣接した最終処分場。稼働は二〇〇六年四月で、一日四百五十dを処理する県内最大規模の施設。視察した三施設の中で環境学習に対する設備が最も充実している。
 ごみを焼却した余熱で発電し、施設内の電力を賄う。余分な電力は売電し、月に約千三百万円の利益を得ている。施設で利用する水は処理して再利用し一切外に出さない。
 立地は宮古島市側によると「住宅地」。搬入路の入り口にはアパートなども見られ、市道を挟み県立開邦高校もある。しかし、施設を取り囲むように墓地が並ぶため、視察した住民側は「住宅地ではない」とこれを否定している。
 糸豊環境美化センターは糸満市と豊見城市の共同処理施設。溶融炉や発電の設備は無い。那覇・南風原同様、施設内で使用する水はすべて処理され、再利用している。規模的には宮古島市が建設を予定している施設の約三倍という。立地はサトウキビ畑などに囲まれた場所で、集落とは約百b離れている。
 三施設とも「エアーカーテン」や施設内の気圧の調整で外部に臭気をもらさない対策が取られている。また、環境学習に対する設備が整っている。
 ◇公害防止協定
 那覇・南風原、糸豊の両施設はそれぞれ地域住民と公害防止協定を締結している。
 那覇・南風原では周辺七自治会と同施設組合が締結している。排出ガス濃度の規定、車両対策、衛生管理、環境美化、苦情の処理など十五項目。
 周辺住民によると、車両対策については、搬入の際に利用する道路を指定しているが、守らない業者もおり、問題となっているという。
 糸豊では協定の内容は排出ガス濃度や騒音・振動・悪臭規制基準など。また、搬入車は搬入のたびに清掃が義務付けられている。さらに、住民らの要望を受け昼時の正午から午後一時までは搬入しないという。
(洲鎌恵仁)

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